[携帯モード] [URL送信]




うおっー。

初めて知った。『菫』にそんな意味があったとは!



「じゃあ、伊瀬は誠実で謙虚ってこと?」



新しいことを知って、浮かれる心をそのままに、伊瀬の横顔に聞いてみる。

てっきり、その答えは。クラスメイトが聞いたときと同じように、控えめな笑顔と否定の言葉だと思ったのに。






「ーー誠実で謙虚ね。」






「っ......!」


初めてみる顔だった。


背筋がピン、としてゾクリと震えた。


だけど、これを気づかれちゃいけない。なぜかそう思って。



「あ、伊瀬! 俺、これから用事あるからもう帰るな
っ。」



それだけ伝えて走り出す。

後ろで名前を呼ばれた気がしたけど、振り向かずにそのまま走った。






だけど、何かを忘れているような気がして。




「あっ。」





家に帰ってから気づいたのがいけなかったのか。学校までの道を歩く、伊瀬に見つかってしまうまで後5分ちょっと。





[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!