[携帯モード] [URL送信]





「ありがとうございました。またお願いいたします。」


若干早口な店員さんの言葉を聞きながら、袋をぶら下げ前を歩く背中を追って店外へ。

学校から近い、本屋のまえ。平日の午後、やはり人はあまりいなくて。


......、っていうか。



「ん。南条、どうした?」

「どうしたじゃねぇよ! なんでっ、俺はっ、こんなところにいるんだ!」

「なんでって。ついてきたからだろ、俺に。」

「ついてきてねぇよ! あれは拉致っていうんだ! このばか力!」


強く握られて、引きずられた腕がまだ痛い。

伊瀬がこんな強引で乱暴なやつだったとは思わなかった。


うわっ、もー。腕赤くなってるし。

微妙に痛みの残る腕をすりすりしながら伊瀬を睨めば、伊瀬はほんの少し目を見開いて、



「あー、悪い。」



目尻を下げながら、そう笑う。





............こいつ。絶対悪いと思ってないよな。







[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!