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そんな、よく分からない気持ちを抱きながら、伊瀬を見つめる。

また顔が赤くなっているような、そんな気がして、恥ずかしさに顔を伏せようと、膝を折り畳んだ瞬間。



ちゅっ。



「へ。」

目の前にドアップの伊瀬のかお。

と、思ったら。
その顔はまた離れていって。


「南条。」


唇に、優しい感触。


「っん......! ん、んっ。」


ちょ、なに。


「ん、......い、んっ。」

「っ、南条。」


えーっ、ちょ。なに、なに、なに。

舌がーっ!


「かわいい、南条。」

「や。んっ、はぁ、............いせ。」


顎に二人の唾液が伝う。

俺はいったい何を。


「伊瀬っ。なにしてんだよっ。」

「なにって。キス。」

「......な。んなことしってるよ! だから、なんで今
キスなんかっ。」


あー、くそっ。

口の周りがべとべとじゃん。



「もっ、いせっ! やめ、」

「さっきの話に戻るけど。俺、佐藤とは別れるから。」

「え?」


思わず動きをとめて、伊瀬を凝視する。別れるって、そりゃうれしいけど、でも、なんか。


「俺は別に佐藤のこと好きなじゃなかったし。付き合ってって言われたから付き合ってただけ。」

「え、でも......。」

「俺が好きなのは南条だから。だから、な。」

「ぇ、......んぅ、っ。」


苦しさに、伊瀬のブラザーを強く握る。


唇から離れると、今度は耳元でリップ音。


「い、せ。」


「遥。愛してる。」



そんな言葉とともに、伊瀬は小さく上品に笑った。






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