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「はるかーっ! またお母さんを無視するつもりーっ!! 今日という今日は......。」
「か、かあさんっ! 帰ってるよ! 俺、帰ってるからっ。あと、今日友達も来てるから部屋こないでよ!」
階段の下へ向けて叫ぶ俺を見つめる伊瀬の視線を強くかんじながら、一通り伝えたいことを叫ぶ。
いつの間に立ったのか、俺を見つめる伊瀬の手を取って廊下を歩く。
下から聞き取れる微妙な音量で聞こえてきた母さんの声は、無視だ。無視。
聞こえてなかったってことにしとこう。
どうせ、ろくなことじゃないんだし。
「伊瀬、ごめん。なんか、今日母さん早かったみたいで。」
「いや、俺は別にいい。けど、どうしたんだ? 南条、お袋さんとなか悪いのか?」
戻った部屋のなか。
神妙な顔をしてそう尋ねてくる伊瀬に、慌てて首を横にふる。
そんな、心配されるようなことじゃない。
「いや、いや。全然、そんなことないよ。むしろ、母さんとは普通に仲いいぐらいだし。......でも母さん、あれでイケメン大好きで。お前みたいなカッコいいやつが出てったら、すげーたいへんなことになるんだって!」
真剣に、ことの重大さを訴える。
あの母さんのイケメン好きは、もう病気だ。きっと結婚のことだって、父さんのこと顔で決めたんだろうし。
「だからさ。俺の母さんには会わないほうが............って。伊瀬、なに笑ってんだよ。」
「いや。嬉しいな、と思って。」
「え? うれしい? なにが。」
今の話しに、嬉しいようそなんかあったか?
あっ。
ま、まさか。母さんに目ぇつけられることが嬉しいとかっ。
伊瀬は熟女が好きなのかっ。
やっぱり、俺に言ってたことは全部ウソ。
「いや。だってお前、俺のことカッコいいって思ってくれてんだろ。好きなやつにそう言われて嬉しくないやつなんていねぇよ。」
「え。」
俺、そう言えばそんなことを。
「あ、いや。......あれは。」
「さんきゅ。うれしい。」
「っ。」
もー。なんだよ、それ。
そんなの、みんな思ってることだっつーの。
今までだってみんなに言われてきたくせに。
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