3
「ん、じゃあとりあえず。ーー俺は、お前が恋愛感情で好きだ。」
「............は。」
なに言って。
「その理由に、俺は今お前に欲情してる。」
「よ、よ、よ、......よくじょうっ!?」
「あぁ。」
「よ、よ、よくじょうって。あの、よくじょうっ? あの、性欲的な意味のよくじょう!?」
「あぁ、そうだ。」
「ええー!?」
なんで、そんなことにっ。
「俺、男だぞ! あれもついてるんだけどっ!」
「そんなこと初めから知ってる。だけど、好きなんだからしょうがないだろ。それに、俺も男だ。」
「そんなこと俺だって知ってるよっ! だけど、好きだから。」
そうだ、俺は伊瀬が男でも好きで。
背ぇ高くて、かっこよくて、ナキボクロのある目元がエロくて、いつも誰に対しても優しい伊瀬が好きで。
でも、お前は。
「な、なんでだよっ。なんでそんなこと言うんだよっ。俺、言ったじゃんか! お前に嫌なこといっぱいしたって。おまえを嫌いだったんだって。だからっ。」
「今は。」
「え......?」
視線がかちり、と合わさる。真っ直ぐなその瞳の奥に、確かな熱を感じた気がして。
「過去のことなんてどうでもいい。今は? 今は俺をどう思ってる? まだ、俺がムカつくか? まだ俺がきら。」
「そんなわけないっ!」
叫んだ喉がいたい。
身体があつい。
ほのかな熱をもち、湿った頬に、彼の手の感触。
「い、せ。」
声が震えた。
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