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「っあ、ちょ。......南条?」
俺の起こした行動に驚き、声をあげる彼。
下から覗きこむようにこちらを伺うその表情に、たまらず彼のブレザーを掴んだ。
「お、おれは、悪いやつなんだよ......! だから、お前に心配してもらう権利なんかないっ!」
「は......。おい、お前なにい。」
「だからっ! 俺はお前みたいにいいやつじゃないんだってば!」
頭に浮かんでは消えていく言葉を、そのまま彼にぶつける。
こんなこと言うつもりじゃなかったのに。
止まらない。
「お、俺、お前のこときらいだったんだよ! お前、り、リカちゃんとキスしてたっ。俺の彼女なのに!だからっ、だかっら......」
顔を見るのが怖くてうつ向き、叫ぶ。
「おま、えの赤ペン隠したのも俺だよ! お前、なんかムカついたしっ!」
目に映る紺いろのブレザーが、ぼやける。
「の、ノートに落がきしたのもおれだしっ。......おまえの弁当、つくえにかく......したの。............、っ、おれだし。」
そうだ、俺はお前に嫌なこといっぱいしてきた。
「でも、おれは。......おまえのこと、が。」
「南条。」
布の擦れる音。
混ざるように、彼の声。
目尻にすーっと優しい感触。
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