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「おい。」
「あっ。」
耳にかすめた彼の息に、肩が震える。
それが酷くはずかしくて、真っ赤になっているだろう、顔をうつぶせ隠しながら、口を動かす。
「あ、あぁ。だいじょ、うぶ............?」
って、あれ?
おれ。
ここ、なんで。
「南条?」
「うわっ!」
そうだっ。
俺、腕のなかにいたんだった。
そう思うのとほぼ同時に、腰に回っていた温もりを振りほどき、そこから逃れる。
うまく動かない足をもつらせながら、目に入った階段に足を踏み出す。
一歩、二歩、順調に足をかけたところで。
「あっ......!」
迫りくるのは茶色。
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