相談ごと
「で。お前は、俺たちに何が聞きたいんだ?」
授業終わりのチャイムとともに教室を飛び出し、彰の部屋。
呼んだ覚えのない美咲もなぜか合流し、我が物顔で備え付けのソファーに座っている。
「って。あれ? 俺、なんか悩みがあるなんて言ったっけ?」
俺の心を見透かしているような物言いに、首をかしげながら彰を見る。
と、彰は一つため息をつき、さもめんどくさそうに口を開いた。
「だってお前。お前が横暴に物事を進めるときは、まってなんか悩んだりしてる時がほとんどだろうが。いつも、お前に振り回される俺の気持ちも考えろよな、全く。」
「いや、いや、ちょっとまって! あたしも迷惑してるわよ。あたしの気持ちも考えて!」
「はぁ? お前は勝手に着いてきたんだろうが。そんなやつの面倒まで見切れませんよ、俺は。」
「はぁ? あんたこそいつもいつも。」
「す、ストーップ! 今日は俺の話し聞いてくれるんじゃないの!」
放っておくと、いつまでも言い合いを続けそうな二人を止めに入る。
喧嘩の発端はきっと俺の我が儘のせいだと分かっているけど、今日は話しを聞いてほしい。
俺だけじゃもう手に負えないんだ。
「はいはい、分かったわよ。そんな顔されちゃ、聞かない訳にはいかないじゃないの。で、遥はなにを悩んでんの?」
ソファーから前のめりになり、顔を近づけてくる美咲につん、と目頭が熱くなる。
普段、近すぎて気づかない大切な存在って、きっとこういうことをいうんだろうな。
こんな早い段階で気づけた俺は、天才かもしれない。
「あ、えーっと。聞きたいことっていうか、知りたいことっていうか。」
俺も自然と前のめりになりながら、口を開く。
あー、なんだか緊張する。
「......大嫌いなやつが、話してる女の子にイライラしたり、そいつが他のやつと楽しそうにしてると、胸のへんがもやもやしたり。俺だって話したいのにっ、て思ったり、目が合うと変な動悸がしたり。............俺、どっかおかしのかな?」
「は?」
「あ?」
「え?」
なぜか沈黙。
「お、お、お前がそこまでバカだったとはっ!? マジ、俺お前のかあちゃんに同情するわ。」
「そ、そ、そうね。あたしもこんなにアホな子供は欲しくないかもね。」
「え、ちょっ。なんだよ! 酷くない、二人とも! 俺だって、ちゃんと、悩んで。」
あ、やばい。
泣けてきた。
「うー。」
「ああっ、ごめんごめん。あんただってちょっとは考えたのよね。その足りない脳みそで頑張ったもんね。」
「おい、それ、フォローしてるようでけなしてるぞ。」
心が痛い。
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