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未だもごもご、と口を動かして納得していないような彰を横目で見つつ、伊瀬へと視線を流す。


彼は今日も数人の女の子に囲まれて、おしゃべりを楽しんでいた。そのなかにはリカちゃんの姿もあって。


「なんだかなぁ。」


胸のへんが、もやもやと気持ち悪くなる。



俺とは挨拶するだけなのに。


そんな恨みがましい気持ちが心に溢れ、なんだかすごく居たたまれない。


リカちゃんと、伊瀬は付き合ってるんだから当たり前だ。会話以上のこともしてるんだろうし。それでも、彼らの会話の内容が無償に気になりそこへそっと、耳を澄ませす。

だけど、聞こえてくるのは女の子たちの高い声ばかりで肝心の伊瀬の声が聞こえない。


あぁ、もううるさい。


何がおかしいのか、甲高い声を上げ笑うリカちゃんの声に苛々が募る。



俺が聞きたいのは、リカちゃんの声じゃなくてあいつの。



「あ、れ。」




ムカつく。




いったいダレに。



「おい、おーい。遥ちゃん。お前、また顔が怖いことになってんぞ。能天気が取り柄だけのお前がどうしたんだよ。最近、ずっとこうじゃん。」

そう冗談混じりに吐かれた彰の言葉に、我に返る。そこに視線を戻せば、彼と同じ色の目と目が合った。

「能天気は余計だっ。」

その、いつもと違う真剣な瞳に形だけの反論をしてみるも、きっと彰の言ってることは正解で。



あの日、1週間前のあの日から、俺の身体は本当におかしいのだ。


毎朝、一度だけかけられる挨拶に、ありえないほど緊張したり。


教室のなかで、何気なーく彼を発見して、頬が緩んだり。


しまいには、胸に変な動悸があこり身体が熱くなったりもして。


あの日から、日に日に増していくそれらに、俺は頭を悩ませずにはいられない、というやつで。


こんな時に、やくに......。
俺の悩みを解決してくれるのは。





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あきゅろす。
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