[携帯モード] [URL送信]

無くしたもの
08 青峰と悪巧み












「あ」
「おう」
「おう」
「何してんだよ」
「実験しようと思って」
「は?なんの?」
「じゃーん」
「なんだよ」
「ブーブークッションでーす」
「なつかしいな」
「でしょ?駄菓子屋に行ったらあったからついつい買ってしまいました!」
「…なるほど!いこーぜ!」
「さすが青峰、話が早い」







膨らましたブーブークッションをもって黒子の教室にいく。狙うは立ち上がった時である。きっともうすぐ彼は図書室へいく。紫原は寝ているので問題ない。






「おい!テツが立ったぞ!」
「仕掛けます!」



セット完了




「…あればれねえのか?」
「大丈夫、黒子は本を見ながら座るから」
「よく知ってるな」
「ずっと隣の席だからね!」
「ふーん…お!戻ってきた!」
「おお!座るぞ!」







ブッブブブブブォフゥ





静まり返る教室。








「(ぶっふふ!!やべえ!やべえって!)」
「(ふひ、あっはっはは!!死ぬう…!)」





「……なんか鳴ったよな?」
「どこから聞こえた?」
「廊下かな?」





クラスメイトに関しては影の薄い黒子を認識できていないようである。








「ぐひひひっ…!…あれ、テツは?」
「ぶふ、…え?あれ、どこいった?」




「君たちは本当に揃えばろくな事をしないですね」




気付けば背後から黒子の声





「「!!!??」」
「人の眠りを邪魔したり影でコソコソと悪巧みばかりして」
「いつから背後に…!!!」
「僕の得意分野ですが」
「テツをなめてたぜ…!」
「青峰、怖くて振り向けないです…!」
「ああ、オレもだぜ」
「こうなる事は覚悟してましたか?」
「「いや、全く」」




「まあどうでもいいです」






ゴッッ










「さあ、次は誰にします?」
「緑間でもいっとこーぜ」
「お、いいねえ」
「お前でこ赤いぜ」
「おまえもな。ガングロのくせに」
「ガングロ関係ねーだろ!」
「あんな細い体のどこにそんな力があるんな だって位痛かった」
「テツでも手をあげることがあるんだな」
「神の逆鱗に触れたな」
「神の…なんだ?」
「バカ峰」
「あー腹立つ」
「ぎゃああ!ばかたれたんこぶ押すな!!」







緑間の教室へ







「緑間席どこ?」
「えーっと…あぁあそこだ!っていねえじゃねえか」
「どこいったんだろ?」
「赤司といるのかもな」
「なるほど、好都合だね。いけ青峰」
「オレかよ」
「同じクラスですし」
「まあいーけど、うし!任せろ!」
「きゃーかっこいい(裏声)」
「うぜえ」





「なにしてんだよ青峰」
「ちょっとな!」





青峰、クラスメイトを受け流しセット完了




「いつもどってくるかな」
「さあ、どうだろーな」
「……」
「……」
「楽しそうですね」


「「……!!!!」」



「テ、テツ!いきなり来んなよ!」
「これ以上たんこぶ増やすのは勘弁してもらえないですかね、お願いします」
「いえ、もう殴りません」
「よかっ、いでででたんこぶ押すな!!」
「顔見たらイラっとしました」
「…」
「青峰が影薄くしてる」
「やっぱりイラっとします」
「い!いってえよ!!たんこぶ押すな!!」
「これで良しとしましょう」
「黒子が怖い」
「こんな殺意剥き出しのテツも珍しいぜ」







2人して黒子に恐れおののいているとターゲットの緑間が教室に戻ってきた。







「あ、座りますよ」
「青峰うるさい」
「しゃべってねーよ!」











ブリュリュリュリュボフッ







「ぶぶぅ!ぶはははは!!」
「ふふっ」
「あははは!!ぶふぅ…!!!」






なるほど、そのタイプの鳴り方か
静まり返った教室に響くのはわたしたちの笑い声(主に青峰とわたし)
ガタン、と椅子を引く音がした










「ぶふ、っいぃいってぇえ!!!!」
「あれ?」
「どうしたんですか青峰くん」





なにかが飛んできたと思ったら次の瞬間には顔を抑えて屈む青峰がいた。
青峰の足元にはしぼんだブーブークッション。え?これを投げただと?







「お前らは本当に…!!!!」
「これはダメなやつだぜ、マジいてぇ」
「まじで痛そう……」
「僕はたまたま通りかかっただけです」





そう言ってわたしたちから距離を取る黒子。
ずるいぞ。







「誰が首謀者なのだよ、殺す」
「おまえ消されるぞ」
「こ、このやろう。仲間を売るのか」
「俺はもう十分苦しんだだろ!」
「いやいや、わたしは殺されるんだよ?」
「毎月花はお供えにきてやるよ」
「絶対道連れにしてやる…!」





もみ合う青峰とわたしを無表情で見下ろす緑間。人を殺す目をしている。







「僕もさっき同じ手にかかったので2人は完全なる共犯者です。どっちもどっちで人を小馬鹿にしてます、腹立たしい」
「こら黒子」
「テツも楽しんでたぜ」
「黙れ。ここにいた以上全員共犯者なのだよ。お前たちは小学生か?人を貶めて何が楽しい?言ってみろ、順番に」






青峰と黒子と顔を合わせる






「許して真ちゃん」
「悪かったよ真ちゃん」
「すみませんでした真ちゃん」

「…ほう。お前たちの今度の試験の結果が楽しみなのだよ」










青峰と黒子と相談した結果、
勉強は赤司くんに教えてもらう事になった。












「完全なるとばっちりです」
「お前笑ってたじゃねーか」
「僕は何とか試験は平均点まで行けますけど柴田さんは危ないです。青峰くんは…はい」
「おい何が言いたいんだテツ」
「緑間に教えてもらおうと思ってたのに…まあ赤司くんにお願いしよう」
「赤司は教えるの上手いからな」
「(他力本願すぎる)」












「それで、次は?」
「紫原じゃね?」
「あの子寝てるんじゃないかな」
「そのうち起きるだろ」
「まだやるんですか?」
「懲りないでしょ、これがわたしたちさ」
「入学当初では考えられないくらいうざさに拍車がかかりましたね」
「う、うん。ちょっと傷付くな」
「間違いねーよ」









紫原の教室へ到着








「紫原は?」
「あいつまだ寝てるぞ…!」
「おい、なんでわたしの席で寝てる」
「僕の席に大量のお菓子のゴミが」






紫原がいたのはわたしの席。その隣の黒子の机には大量のゴミ、かわいそう。






「どうしよ」
「そのうち立つだろ」
「あ、起きましたね」
「お!いくんだ黒子!」
「え、僕ですか」
「影薄いからな」
「…いいですよ、ここまできたらとことん悪に染まってやります」
「…おお…とんでもないものを召喚してしまった…」
「テツ…逞しくなったな…」








黒子、紫原(わたしの席)にセット完了
しかし紫原は立ち上がりそのまま教室を出て行ってしまった。







「あれ、どこいくんだろう」
「トイレじゃねえの?」
「僕の努力は」
「まあ待ちましょう」
「そうだな」
「……」
「……」
「……」
「…赤司くんには…」
「ばか、できるわけねぇだろ」
「さすがにそれは…」





「俺がどうかしたのか?」

「「「!!!!」」」





廊下でしゃがみながら教室をのぞいていたら頭に上に何かが当る感覚と共に背後から赤司くんの声。





「三人そろって何をそんなに目を丸くしているんだ?」
「あ、赤司くんこそどうしたの?」
「ああ、そろそろ試験対策をしないといけないだろ。お前達に範囲内のプリントを渡しにきたんだが」
「お、さすが赤司!サンキュー!」
「赤司くん大天使」
「神様ですね、ありがとうございます」
「なんでこんな所で固まってるのかは知らないが、探す手間が省けたな。」







さっき頭の上に当たったのはプリントだったらしい。目を輝かせて赤司くんをみるわたしたちバカトリオは側から見るとほんとにばかにしか見えないだろうな。






「もう授業が始まる、青峰は早く教室に戻れ。お前たちも早く席に着くようにね」
「え、もうそんな時間?」
「やべ、俺戻るわ!サンキュー赤司!」
「じゃあな、柴田に黒子」
「ありがと赤司くん!」
「…僕たちも戻りましょうか」







黒子とプリントを眺めながら教室に入る。それと同時に鐘が鳴り戻ってきた紫原も自分の席に座っていた。なんだ、いるじゃん。
腰掛けた黒子同様、隣の自分の席に行き椅子を引く。そもそもなんで紫原待ってたんだっけ?なんか用あったっけ?あれ、









ブッブリュリュ〜〜〜…ブリュ〜…









「本当にバカですね」










ブーブークッション忘れてた。














(しばちん盛大にやらかしてたねー)
(僕はとてもすっきりしました)
(色々恥ずかしくて消え去りたい…!!)










第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!