Get involved in love(はやて+なのは)
「はやてちゃん、一緒に水族館行かない?」
「…誘う相手間違うてるで、なのはちゃん」
放課後の教室には私となのはちゃんの二人だけ。
管理局の仕事で受けられなかった古典の小テストを残って受けていたのだ。
それが終わり、いざ帰ろうと帰り支度していたら、なのはちゃんがペアチケットを持って私にすがりついてきたというわけだけど。
一緒に行かない?と聞かれてうん、行こうと答えるほど私は鈍くない。
とりあえず話を聞くことにした。
「なんでフェイトちゃん誘わんの?」
「えっと、それは、その…」
「…もしかしてケンカでもしたん?」
「…あ、いや、うん、私が一方的に…」
歯切れの悪い返事をするなのはちゃん。
ケンカの原因はどうやらなのはちゃんの嫉妬。
フェイトちゃんの余りのモテぶりに耐えられなくなったなのはちゃんは、「フェイトちゃんなんか知らない!」と拗ねて口もきかなくなってしまい、またそれに対するフェイトちゃんの落ち込み様が酷らしい。
話しかけづらくなって謝ることも出来ない、とのこと。
そんなことがあって、本来フェイトちゃんを誘うはずだった水族館のチケットが残ってしまった、と。
全部通して聞いてみると犬も食わないような内容だ。
思わず聞き終わった後に「ごちそうさま」と手を合わせてしまった。
そして、タイミングが良いのか悪いのか、フェイトちゃんは昨日から管理局の仕事でおらず、今日の夜に帰ってくる。
仲直りの対策を練るなら今しかないないだろう。
「まぁ、対策って言っても直接謝るぐらいしかないけどなぁ」
「だよねぇ…」
「この場にアリサちゃんがおったら今ごろなのはちゃん、スーパーお説教タイムやで?」
「…だよねぇ…」
なのはちゃんは思いつめたように俯く。
「フェイトちゃんがいないと世界がなんだか白黒に見えるよ…」
「そ、それはご愁傷様や…」
「どうやって謝ったらいいのかな…」
アカン、これはかなりの重症と見た。
仕方がないので精一杯の助け舟をだしてやる。
「あんなぁ、フェイトちゃんはなのはちゃんが居るのに他の子が気になったりとか、そういう器用なことはできんへんよ」
「それは、何となくわかるけど…」
「もう少し余裕もったらどうやろ?」
「余裕?」
なのはちゃんは小首を傾げた。
「要は気持ちの持ちようなんや、気持ちの。そやなぁ、こう、フェイトちゃんはなのはちゃんのっていう事実上確定的な自信があるわけやろ?そこやねん」
「どういうこと?」
「つまりフェイトちゃんに告白する子に対して、“フェイトちゃんは私以外に興味がないんだから、告白でも何でも好きにすればいいよ”っちゅー気持ちで臨むってことや」
自分でも結構強引な論理かなと思った。
しかし、当の本人はまんざらでも無さそうだった。
「そうかそういうことだったんだ…!なのはに足りなかったのは余裕だったんだ!」
「え、あ、うんそういうことかな?」
「ありがとうはやてちゃん、早速帰ってから実践してみるよ!」
「…うん?」
「それじゃあまた明日!」
「また明日…」
なんや、実践て。
そこはかとない不安を抱きつつ、私も家路についた。
そして、次の日。
「なのはちゃん、フェイトちゃんがいるから楽しそうだね?」
「にゃはは…」
「結局、仲直り出来たんやな?」
「うん!おかげさまで。水族館も来週行くことになったの」
「ごめんね、はやて。何だか迷惑かけちゃって…」
「あー気にせんでええって」
「何、あんたたちケンカしてたの?」
昼休み、いつもの五人組で昼食をとっていた。
どこも変哲の無いように見える。
しかし小さな変化をすずかちゃんが見つけた。
「あれ、フェイトちゃん首赤くなってるよ?虫さされ?」
「へっ!?」
指摘されたフェイトちゃんは間抜けな声を出して、赤くなっているそこを抑えた。
すぐさま私とアリサちゃんはその赤い痕の正体を察した。
「…あんたたちはいい加減自重した学生生活送りなさいよ!」
「えー、だってこれははやてちゃんが教えてくれたんだよ?」
「わ、私!?」
「はやてぇ…?」
誰がいつキスマークつけろって言ったねん!
アリサちゃんもそないに睨まんといて。
「昨日はやてちゃんが、気持ちの持ちようって言ってくれたでしょ?」
「う、うん…」
確かに言うたけど、それとこれがどう繋がるんや。
「だから、気持ちを持ちやすくするために、見える所に既成事実を作ってみたの」
なのはちゃんの笑顔は爽快だった。
なるほど、自分の物っていうマークが見えれば安心というわけか。
慣れというものは恐いもので今では、つくづくこの頭が痛くなるほど平和な日常を愛おしく思ってしまう。
「こ、こ、このバカップルがぁぁぁっ!」
そして今日も問答無用にアリサちゃんの怒号が教室に響き渡ったのだ。
end
あとがき↓
なんて頭の悪い内容だ…orz
はやては程よくとばっちり受けてるくらいがちょうどいいと思います。
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