朱色の酸味(2000hit記念作品・フェイなの)
「フェイトちゃん、今日何の日だか知ってる?」
彼女がへへへ、とにこにこしながら聞いてきた。
「うん、勿論。」
彼女につられて自分の顔もにやけてくる。
「一周年おめでとう、だよね」
「えへへっ、せいかーいっ」
放課後の教室には私となのはの二人だけ。
朱色が教室ごと私たちを包んでいる。
管理局の仕事で受けられなかった国語の小テストを受け終わり、帰ろうとしていた時だった。
私がなのはに告白したのは中学一年生の春。
つい先日のことのように当時のことを今でも鮮明に覚えている。
今日みたいな放課後で、二人きりの教室だった。
私はなのはの手を握り締めながら自分の気持ちをたった一言彼女に伝えた。
『なのはが好きなんだ、私と付き合って欲しい』
一瞬驚いたなのはは手を握り返して泣きながら微笑んでくれた。
『私もフェイトちゃんが好き。ずっと側にいて欲しいよ』
その言葉を聞いたとき、目に熱いものがこみ上げてきた。
そして、思わずなのはを抱きしめた。
あの時の幸福感はいつまでも忘れられないと思う。
「フェイトちゃん、私の話聞いてる?」
なのはの声で我に返った。
「ご、ごめん、聞いてなかった」
「もーっ、私のこと放っておいて何考えてたの?」
なのはが頬を膨らませながら言う。
そんな仕草でさえもみとれてしまう。
「うん、告白した時のことを思い出してた。あの時のなのはは可愛かったなぁって」
膨れっ面が真っ赤になって崩れた。
「ちょ、フェイトちゃん、恥ずかしいこと思い出さないでよ!…ていうか今の私は可愛くないの?」
今度は少し拗ねてしまったようだ。
顔真っ赤なままで可愛くて仕方ない。
「今のなのはは十分可愛いよ?むしろ前よりも増して可愛くなってるし」
「…っ!フェイトちゃんの天然…」
「え?」
「そんなタラシだからみんなフェイトちゃんに惚れちゃうんだよ!」
「そんなことは無いと思うんだけどなぁ」
ははは、と苦笑い。
自分では自覚がないのでわからないのだけど、アリサ曰わく、「天然タラシの上に鈍感だから本当質が悪いわっ」とのこと。
「フェイトちゃん、あの時私が言ったこと、覚えてる?」
「…ずっと側にいて欲しい?」
「うん、そう」
なのははスッと私に近づき、上目使いで聞いてきた。
「私まだ聞いてないよ」
「え?」
「私は言ったけど、フェイトちゃんからはまだ聞いてない」
「…ああ」
そういえばその言葉を私はまだ言って言っていなかった。
私はなのはの肩に手を置き、すぅっと一呼吸おいてから言った。
「私もなのはに側にいて欲しいよ。これからもずっと、いくつになっても側にいて欲しい」
「フェイトちゃん!」
なのはが抱きついてきた。
私も抱きしめ返して応える。
「大好きだよ、なのは…」
「私もだよフェイトちゃん…」
放課後の教室に重なる影がひとつ。
私たちごと朱色に溶けていく感覚に目眩がした。
end
あとがき
2000hitのフェイなのです。
…あえて何も言いませn(ry
強いて言うなら、ちゅうがくせいだいすき(▼・T・▼)
フェイなのは甘々しか思いつきませんです(笑
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