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君がいれば(アリすず)
長閑な昼下がり。
部屋には私とすずか、二人きり。


読書やらメールチェックやら、それぞれ思い思いに好きなことをする。



いつもなら他に賑やかしい三人がいるのだが、今日は管理局の仕事でおらず、とても静かに時間が流れている。





読書にも飽きた私は、行儀が悪いけどソファーに仰向けにだらだらと横たわった。





「アリサちゃん、三人がいなくて淋しい?」
「そんなんじゃなくて、ただ静かすぎて調子が狂うだけよ」





私の気の抜けようにすずかがくすくす笑う。


あの子たちの前だと強がってしっかりしたような態度をとっているけど、すずかと二人きりになると、どうも気が抜けてしまう。





「…私と二人じゃつまらない?」
「ばっ…そんなわけないじゃない!むしろ…」
「むしろ?」
「あ、いや、その…」





唐突にすずかが変なことを言い出すものだから、吃驚してしまった。
慌てふためく私をすずかはまたくすくす笑う。




しかし、素直に本心を言えない自分が情けない。






「ね、アリサちゃん、そっち行ってもいい?」
「…ん」




すずかが座れるように伸ばしていた膝を曲げてスペースをつくる。



ところがすずかはそこに座ることなく私の上に体全身でぼすっとのっかってきた。





「ちょ、すずかっ?」
「嫌?」
「い、嫌じゃないけど」





直にすずかの体温が伝わる。
首に顔を擦り寄せてくるので、すごくくすぐったい。



背中に手を回すとより密着して、自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい私はどきどきしていた。




この状況は一見すると、すずかが甘えているように見えるけど、実際は私の方が甘えさせてもらっていたりする。


私は強がりで意地っ張りな性格だから、普段すずかに触れたいとか抱きしめたいと思っていてもなかなか行動に移せない。


そんなときにいつもタイミングよくすずかは甘えるような仕草をしてくれるので、私もそれに乗じて「仕方がない」と構うフリをすることで隠れて甘えることができるというわけだ。



まぁ、そんなのも二人きりのとき限定だけども。






本当、すずかには頭も上がらない。





「ねぇ、アリサちゃん。さっきの続き聞かせて?」
「え?」
「“むしろ”のあと」




この子は本当に抜け目がないと同時に酷だと思う。



小首を傾げながら上目遣いでお願いされては断ることなんて不可能ではないか。




すずかの動作のひとつひとつに私が心を揺さぶられているのを、無意識なのか、分かっていながらやっているのか。
恐らくは後者なのだろうけど。






「アリサちゃん」





ああ、そんな甘ったるい声を出しながら見つめないでよ。




目の前の透き通るようなすずかの髪に自分の指を通して撫でるように梳くと、すずかはくすぐったそうに頬を朱色に染めながら「えへへ」と笑った。




髪だけでは足りなくなって、その桃色の唇にキスをする。
小さく声が漏れたのが耳にじわりと染み込んだ。





私はさっきのお返しとばかりに、すずかをぐいっと引き寄せて耳元で囁く。






「むしろ、満ち足りすぎてて怖いくらいよ」








すずかが一瞬照れた隙を突いて、また唇を奪った。






end




あとがき
突発的に甘いアリすずが書きたくなりました。
まぁ結局のところアリサはしっかりと尻にしかれているんですけどね(笑

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あきゅろす。
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