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続・小さな混乱(8000hit記念作品・シグはや)
「おはようございます主はや…」
「あ、おはようシグナム」



そこにはいつもと変わらぬ優しい声で朝の挨拶をする愛しい我が主。




ただ激しく変わっていたのは、主が九歳の頃のお姿になっていたことだけだった。




「えへへー。驚いたー?」
「えっ、あ、はい。もの凄く…」




主は私の足元に駆け寄り、抱きついて問う。


状況が全くもって飲み込めない私に、主の問いかけは右耳から左耳へ通り抜けていくようだった。




「なんかなーシャマルがな、私が寝てるうちに魔法かけてくれたみたいなんよー」
「シ、シャマルのやつ…!」



そういえば前にテスタロッサにその手の魔法を頼まれていたな。


悪戯が過ぎるぞシャマル!




「でな、今日私ら二人オフやんかぁ」
「は、はい」
「だから、二人でこの体じゃなきゃ出来ないことしたいんよ?」




嫌な予感が背筋を這い上がってくる感覚に襲われた。










「主はやて、この体勢はいったい…」



主はソファーに座る私の体の真ん中に、すっぽりと収まっている。



「その一、体全身を包み込んでもらう!」



私に向き直って、ぴたりと抱きついてきた。



「は、はぁ…」
「というわけで思う存分包み込んでくださいっ」
「ええっ!?」



嫌なん、と悲しげな瞳で見つめられたら断ることなんてできない。

例えその瞳は故意であったとしても。




「し、失礼します」
「はいどうぞっ」



主をぎゅっと、抱きしめる。




少し抵抗はあったものの、主が満足そうだったので、まぁよしとする。









「はいではその二ー」
「まだあるんですかっ?」
「あるよー。その二はなぁ、お姫様だっこ!」
「…それは普段の主の体でも出来るんじゃ…」
「いやな、あの頃みたいにまたシグナムにだっこしてもらいたくてなぁ…」
「主はやて…」
「なんていうのは建て前で、ただ単純にしてもらいたかっただけやけどなっ」
「…どうぞ」



抱きしめていた腕をほどいて、主を抱き上げた。



「本当にあの頃と同じですね」
「ほんまやね…」



主は顔を首にうずめてきた。
私も少し力を入れて抱きしめる。





しばらく二人でそうしていると、主が小さく欠伸をされた。


「なんか眠うなってきたわぁ…」
「少し休まれますか?」
「お、じゃあその三やな」
「はい?」




まだあるんですか?




「一緒にお昼寝や」
「…そうですか」



ここまでくると自分の羞恥心など、どうでもよくなってきた。



ふと見ると主はもう限界のようで、何度も目をこすっていた。



主をベッドまで運んでそっと寝かせる。
すると小さい声で私を呼んで、服を掴んだ。



「シグナム、はよ…」









私はテスタロッサじゃないんだから主に手など出しはしない…!


そうだ理性を保て烈火の将、シグナム!





落ち着くために自分で自分を励ましていると、いつの間にか寝てしまったのか、主が服を掴んだまま小さく規則正しい寝息を立てていた。




その幼くあどけない姿に自然と笑みがこぼれる。




「…失礼します」



そっと主はやての隣に横になる。


主の肩が小さく上下していた。


主の顔にかかった前髪をよけていると、日頃の疲れが溜まっていたのか、私はすぐに柔らかいシーツへと意識を手放した。














当然のごとく、その日早く帰ってきたヴィータに声を殺して爆笑された。




ちなみに主はやては次の日には元の体に戻っていた。


この時ばかりはさすがにいつも通りが一番いいと思わずにはいられなかった。




end




あとがき
ネタ提供してくださった方に申し訳ない出来に…!
すごく強引な締め方だ…orz
シグはや難しいよシグはや!


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あきゅろす。
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