ラブファンブル 7 「結城さんって……相当セックスが好きなんですね」 目の前にいる男は、誰なんだ? 俺の知ってる野球部の後輩は、『セックス』なんて口に出すような奴じゃなかった。 「そうじゃなくて…」 「じゃあなんで今日あんな所にいたんですか?誰かとセックスしたかったからでしょ」 「あ……あれは、友達に騙されたんだ!!」 「……じゃあなんでここにいるんですか?俺とセックスしたいからでしょ」 それは… 自分でもわからなくなってきた。 俺はどうして二条の部屋に来たんだ。 「答えないってことは……やっぱり、俺としたかったからですよね?」 部屋の入り口で立ちすくむ俺の肩に、二条が腕を置いてきた。 「正直になった方が良いですよ。自分の為にも…」 二条の顔が近づいてくる。唇がほんの一瞬触れたくらいで二条は顔を離す。 再び唇を近づけたのは… 俺の方だった。 「んっ……はぁっ…」 「二条…」 二条が服の上から俺の硬くなったモノをさすってきた。それに応えるように、俺は二条のシャツの中に手を滑り込ませて二条の乳首を摘まむ。 「んんっ……あん…」 二条は恥ずかしげもなく甘い声をあげている。 どちらからともなくベッドに移動して、そのまま倒れこんだ。 俺は無意識的に二条の服を脱がせ始める。 「結城さん…」 目の前に、二条の綺麗な裸体。 そして、二条の潤んだ瞳。俺を呼ぶ声。 ここは… あの日の、部室なのか? 「……結城さん?ここで寸止めするなんて……策士なんですね?」 二条が俺の手をとって自分の乳首に導く。軽く摘まむだけで、二条は切ない声をあげる。 「ん……もっと、触って…」 「二条…」 動きを止めた俺を不審に思ったのか、二条が上体を起こした。 「……なんですか?結城さん…」 「もういいよ……あの時のこと、恨んでるんだろ?」 二条が初めてうろたえた気がした。 俺の手を離して俯いたかと思うと、小さく呟いた。 「……そりゃ、恨んでます…」 「だったら、こんなのやっぱり…」 「だって結城さん、あれから僕に一度も会いに来てくれなかったから」 「……会いに……?」 自分の耳を疑った。 会いに行くなんて……だって、二条はあの時のことを… ……まさか、違うのか? 「二条……お前、あの日…」 二条は顔を上げると、しっかり俺の目を見つめた。 「あの時は……怖かったけど、嫌じゃなかったですよ?僕はずっと、結城さんが…」 俺の目を見つめる二条は、今日出会った二条と明らかに別人だった。 俺が恋に落ちた、3年前の二条がいた。 「二条……本当に、良いのか?」 「……ずっと、待ってました…」 二条… 3年間お前は、俺を待ってたのか? 冷たい仮面をかぶって、ずっと… 「二条……あの時は…」 「謝らないでください…」 今度こそ二条を押し倒して、二条の首すじにキスをした。 「あ、ん……結城さんっ…」 「二条……嫌じゃないんだな?」 二条が笑って頷く。 久々に見た、二条の笑顔だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |