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ラブファンブル

「……結城さん、反応してますよ」

二条が小さく呟いた。いろいろ弁明しようとしたけど、無駄に終わると思ってやめた。

「嘘つき」

二条はため息をついた。それでも俺のモノを撫でる手を止めない。

「……もう良いだろ?やめてくれ」

「本当にそう思ってます?やめてほしくないんじゃないですか?」

「な、何を…」

「結城さん変態だから……実は喜んでたりして」

「……そんなことない。離せ」

少し強めに言うと、二条はようやく手を離す。そしてまた、ため息をついた。

どうして二条は、こんなことするんだ。三年前は、こういう話題さえ苦手だったハズだ。
やっぱり俺を恨んで……?

「……もうすぐ、二条の住んでるマンションだよな」

いろいろ言いたいことはあったけど、なんとかそう言った。
二条が頷くのを横目で確認する。

「俺、お前の前に二度と現れないよ。約束する」

「……別に、そんな約束してもらっても困ります」

車の中に、重い沈黙が訪れた。





カーナビによると、この建物がオリックスマンションらしい。
空いてるスペースを探して適当に駐車させる。

「……ここで、良いんだよな」

横を見ると、結城は俯いて何も返さない。着いたとたんに降りると思ったのに……どうしたんだ?
もう一度声をかけようとすると、二条が俯いたまま話し始めた。

「それが結城さんの答えなんですか?」

「二条……?ここで降りるんだろ?間違ってるなら…」

すると二条は俺を思い切り睨む。
そして、言った。

「いくじなし」

言い終えると同時に二条がドアを開けようとしたので、俺は思わず二条の肩を掴んでしまった。
二条はピタリと止まって振り向きもしない。

『いくじなし』?
一体、なんのことを言ってるんだ。

「に、二条…」

引き止めちゃいけないことはわかっていた。
それでも、二条が何を考えてるのか知りたいという衝動は、抑えられなかった。

しばらくして、二条が振り向く。

「なんですか?」

肩を掴む手が緩んだ。
二条の何かを試しているような視線が、俺を惑わせる。

「もしかして、変なこと考えてます?別にいいですよ、部屋に来ても」

「な……二条?」

「したいんでしょ?俺と、こういうこと」

二条が再び俺の股間に手を伸ばす。
手をおしのけると、すぐに反対の手が伸びてきた。

「二条!!いいかげんに…」

「いいんですか?もう一度俺とヤれるチャンス、逃しちゃって」

『もう一度』…
あの日の記憶が、昨日のことのように甦った。
部室の冷たい床、二条の体…

「結城さん、選んでいいんですよ?このまま帰るか、部屋に来るか」

二条の目が、俺を誘ってるみたいに見えた。

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あきゅろす。
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