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ラブファンブル

「に、二条……あの…」

「なんで結城さんがいるんですか?」

赤信号だったので、俺は停止して隣を見た。二条の寝ぼけた顔がだんだん今日の冷たい顔つきに変わっていく。

「井上って奴から頼まれたんだ。お前を送るようにって……ちょうど、同じ方向だし」

俺じゃ、嫌だろうけど…

震える声でそういうと、反応が怖くて前を向いた。信号が青に変わって、俺は車を発進させる。

「……そうですね、結城さんとは口もききたくないですけど」

二条の冷たい声は、俺の耳を切り裂くみたいだった。

「方向が同じなら仕方ないですね」

俺は何も言うことができなかった。
『結城さんとは口もききたくないですけど』
当然だ。当然なんだ。
それなのに、こんなに傷つくなんて…

「あれ、俺の住所……?」

二条がカーナビを指さす。画面には目的地として二条の住所が表示されている。
俺はさっきの会話を説明した。

「二条は寝ぼけてたから、覚えてないかもしれないけど…」

「……覚えてないです。俺、酔うと記憶なくなるタイプなんですよね」

俺が相づちを打とうとしたその時、二条の手が俺の太ももに伸びてきた。

「結城さん、俺が寝てる間に俺に変なことしてませんか?」

「なっ…」

赤信号に気づいて、慌ててブレーキを踏む。危うく、事故を起こすところだった…

「し……してない。絶対にしてない」

「本当ですか?」

二条はなんでもないことみたいに俺のももを撫でる。

あの時のことを、責めてるのか?謝れと言っているんだろうか。
確かなことは、二条はあの時のことを忘れてないということだけだ。

「……二条、」

「じゃあ体で証明してくれます?結城さんが、俺のことそういう目で見てないって」

俺の言葉を遮って、二条はその手を股間に伸ばしてきた。

「に……二条!!お前、何を…」

「俺に対して下心がないなら、こんなのなんでもないでしょ」

二条は優しい手つきで、服の上から俺のモノを撫でる。
下半身を意識しないようにすればするほど、二条の手つきに反応してしまう…

「二条、やめろ…」

二条は聞こえないフリを貫くつもりらしい。
運転に集中しようと努力するけど、鼓動はどんどん速くなる。

一体、二条はどんなつもりでこんなことをしているんだ?
これはあの時の復讐なんだろうか。

「二条……今は、ちょっと…」

「結城さん、運転中なのに変な気起こすんですか?やっぱり最低ですね」

二条がイタズラに笑う。
情けないけど……二条の言う通りだ。

俺のモノを二条が触ってくれていることが、本当は少なからず嬉しい。運転中なんて関係ない。
興奮せずには、いられない。

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あきゅろす。
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