もうちょっとメイクビリーブ おまけ 仲が良いっていうのは良いことだよね、ホントに。 「なーかーたーにー」 同時に振り向く、親友と親友の恋人。 「一緒に登校なんて、仲良しですねぇ」 「黒坂先輩…」 中谷が気まずそうな目で俺を見る。こういう時はたいていヤラシイことを隠したい証拠だ。 まぁ、バレバレなんだけど。 「もしかして、昨晩はリュウくんとお楽しみだったんですか?」 中谷の顔が一瞬で赤くなった。そしてリュウが俺を睨む。『俺のチカラを困らせんな』とか思ってんだろう。 でも、俺怒られる筋合いないよね? 昨晩あなたのバイクを回収してあげたのは誰だと思ってるの。 「べっ、別にそんな…」 「あ、そう?制服のサイズ合ってないけど大丈夫?」 わざとらしく言うと、中谷は恥ずかしさがピークになったのか「俺の教室こっちなので!!」と一年の教室に向かって走り去ってしまった。 「……昴…」 ヤバい、リュウくんご乱心。 機嫌をとろうと「昨日はどうしたの?中谷となんかあった?」と聞いてみた。 そしたらビックリ、なんと中谷が電車で痴漢に遭ったらしい。 いるらしいねぇ、少年趣味の男って。 「でもまさか、中谷がねぇ」 「まぁありえる話だよな……チカラ、可愛いしエロいし…」 ……うん。まぁ、無事で良かったね。 そんでリュウくんが慰めてあげたワケだ。良い話だなー。 「で、泊まってったんだ?」 「どうしても学校行きたいって言うから……あの転校生が心配なんだとよ」 半ばヤケっぽくリュウが言う。 あぁ、夏樹くんが心配なのね。リュウくんも言うように、中谷ってホントに他人本位だ。 「そんなことが続くならさぁ、一緒に住んじゃえば?」 「……俺だって、そうしてぇけど」 「ダメなの?」 「アイツ、すげぇ家族想いだから……無理だろ、たぶん」 そうなんだ。言ってみればいいのに。 「中谷が来ればリュウくんも寂しくないのにねぇ」 俺がそう言うと、リュウは呆れてため息をついた。 「別に寂しくねぇし……家族がいんなら、一緒に住んだ方が良いんじゃねぇの」 含蓄のあるお言葉だ。 リュウ、気付いてんのか? 「まぁ、リュウがいいならいいけど」 お前だって充分、他人本位で生きるようになったんだよ。 [*前へ] [戻る] |