[携帯モード] [URL送信]

もうちょっとメイクビリーブ

「んん…」

眩しい……あれ、俺寝てた?
ここはどこだ?今、何時……?

「起きたか?中谷」

「……あ、東郷先輩」

あまりにアッサリ返したからか、東郷先輩に苦笑いされた。
そっか、先輩と……そうだよな。腰が痛すぎる…

「……今、何時ですか?」

「2時過ぎくらいだな」

東郷先輩があまりにアッサリ答える。2時って……夜中の?

「ええぇぇえ!?」

何してんだ俺は!!明日も学校だし、家に帰らなくちゃ!!親に怒られないかな…

「せ、先輩俺のカバンは?俺、帰らなくちゃ…」

「はぁ?今から帰るなんて、ダメに決まってんだろ」

だって仕方ないだろう!!
っていうかアンタも起こせよ!!

「お願いです先輩、親に怒られちゃう…」

「俺が連絡しといてやったから」

「え?あぁ……それはどうも……でも、学校が!!」

「休めよ、一日くらい…」

「嫌ですよ!!夏樹を一人にしたら危ないかもしれないし…」

そう、夏樹がいる限りなるべく休みたくない。『東郷先輩がバックについてる』なんていう噂がたったから大丈夫だとは思うけど、どっかの不良に襲われるかも…

「あのなぁ……お前だって今日危ない目にあったばっかりだろ?学校だってもう行かせたくねぇのに……こんな夜中に外に出せるかよ!!」

……うぅ、そういえば。
完全に論破されてしまった。
でも、夏樹が心配だな…

「……別に、俺の家から学校行けばいいだろ?」

東郷先輩がため息混じりに言う。
そういえば……確かに、その通りだ。
「でも、シャツが…」と言うと、「俺の着ていけば」とのお答え。
「たぶんサイズちげぇけど、別にいいだろ。一日くらい」

それもそうか。ブカブカのシャツで学校行くのは嫌だけど、学校に行けるなら…

「相変わらず他人のことばっかだな、中谷は…」

東郷先輩がベッドに腰かけたので、俺は少し離れたところに座った。
「先輩」と呼ぶと、「なんだよ?」と優しい声。

「本当に良いんですか?シャツ…」

「当たり前だろ……そんなケチじゃねぇよ」

「……東郷先輩って、優しいですよね」

「はぁ?」

今日だって、こんなに心配してくれると思わなかった。まず迎えに来てくれると思ってなかったし…

「心配しないわけねぇだろ……つーか、『なんかあったら俺を呼べ』って言ったよな?」

言ったっけ?絶対、すごい前の話だ…

「でも、迷ったけど電話して良かったです」

「迷うな。これからはすぐに電話しろ。俺はお前の頼みなら、なんだって聞いてやるから…」

「えっ、東郷先輩って俺の頼みなら何でも聞いてくれるんですか?」

「……まぁ」

そうだったのか。




翌週。

「待て待て……俺がそんなことするわけねぇだろ…」

「えーっチカ兄の頼みなら聞いてくれるんだろー?」

紅葉がうちに来たので、東郷先輩も呼んでみた。それなのに……言ってることが違うじゃないか!!

「お願いです、先輩…」

「中谷……その目は卑怯だぞ…」

東郷先輩はどうしても首を縦に振らない。紅葉、楽しみにしてたのになぁ…

「ゴウくんワガママだなー。怪人に捕まる役が嫌なら怪人役でもいいぞ?」

「嫌だって言ってんだろ」

「もしかしてゴウくんもヒーロー役が良いのか?」

「役の問題じゃねぇ!!」

おもちゃの変身ベルトをつけてすっかりヤル気の紅葉に、東郷先輩は呆れてる。

まぁ仕方ないか…
東郷先輩は俺のヒーロー役以外、たぶん似合わないし。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!