ショート*ストーリー
∞
「おはよう湊。元カノに告白されたんだって?」
「あ……赤坂がなんでそれを!?」
「さっき玲に会ったからさぁ」
うぅ……赤坂にも知られたくなかった…
消したい、あの過去消したい…
「でも玲もひどいよな。お前と付き合うこと考えとくとか言っといて」
「うん……っていうかあいつさえ来なければ!!今ごろ玲とラブラブライフを送ってるのに…」
『女に目を向ければいいだろ』なんて、玲もなんであんなこと言ったんだろう。
俺が玲のこと大好きだって知ってて、どうしてあんな…
「赤坂ー!!ちょっと泣いていい!?」
「おー泣いとけ泣いとけ」
「ありがとう、玲の前で泣くと『男のくせに泣くな』って怒られるから…」
「……すげー損な役回り、俺」
めそめそと泣く俺を赤坂はずっと見守ってくれていた。
……まぁ、ここでくじけないのが俺の良いところだよね!!
玲のこと諦められるわけないし!!諦めたらそこで試合終了だし!!
「玲!!今日バイトないよね?一緒に帰ろうよっ」
「またかよ?」
講義が終わった瞬間に、玲が講義を受けてる教室まで疾走した。
玲は嫌そうな顔をしながらも承諾してくれた。やった……!!
「……あのさ、俺……玲のこと、まだ好きだから……ね」
電車を降りて、自宅が見える通りにさしかかったところで呟いてみた。
ちゃんとこれは言っておかなくちゃだよね…
玲は俺の言葉にため息をつく。
「……そう言っても、お前があの子と…」
玲の言葉が途中で途切れたから、俺は不思議に思って玲の顔を覗き込む。
玲は前方を指差して俺を見た。
「……今マンションから出てきたの、お前の元カノじゃねぇか?」
えぇ!?
促されるままよく目を凝らすと、確かに美央の姿。
偶然にもほどがある……っていうか、こんなところ見られたらまたややこしいことになる!!
「玲!!隠れよう……いや、逃げよう!!」
「はぁ!?なんでそんなことしなくちゃいけねぇんだよ?」
「だってきっと玲に迷惑かけちゃうもん……お願い!!愛の逃避行っ…」
「愛は要らねぇだろ!!」
「……い、痛い…」
そんなやりとりをしてる間に、結局美央に気付かれてしまった。
「湊!!ねぇ、昨日のこと考えてくれたの!?」
そう言って近づいてくる美央。
「考えてない!!俺、美央と付き合えないから…」
「どうして?」
「だって…」
俺には生涯何があっても愛するって誓った人がいるから!!
……って言えたら、どんなに良いだろう…
でもそんなことしたら玲が何か言われるかもしれないし…
あぁもう!!なんで好きな人のこと好きって言えないんだよ!!
男を好きになっちゃダメなのかよ!?俺は俺なりに、一生懸命玲のこと愛してるのに……!!
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