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ショート*ストーリー
Yuzuki-1
最っ低だな、俺…

もし本当のことを知っても、俺のことを嫌わないで。
いつものぶっきらぼうな口調で、『早くついて来い』って言って。
朝日だけは、俺を嫌わないで。



「柚樹くんって、普段からそんなにおとなしいの?」

出来たての彼女と歩く、学校からの帰り道。
俺は幸せ者のはずだった。

「え……俺おとなしいかな?」

「私はもっと喋る人だと思ってたな」

それは……付き合うとか初めてで、緊張しちゃうっていうか…
普段の俺ってどんなんだっけ?


「……あ、いつもは朝日といるから」

「また坂井くん?」

坂井朝日は、俺のクラスメイト。
クールでヒドいことばっか言うけど、本当はすごく優しい俺の親友。
朝日といる時は俺、よく喋るな。
親友なだけあって何でも話せるし、そもそも朝日が無口だからどうしても俺の喋る量が多くなるんだ。

「柚樹くんって坂井くんの話ばっかりだよね……ねぇ、私と坂井くんと一緒にいて楽しいの、どっち?」

拗ねた表情の安部さん。
安部さんとは付き合ってまだ2週間。
だから一緒にいて楽しいのなんて朝日の方に決まってる…

「えっと…」

どうしよう。正直に答えていいのかな。
朝日だったらどうするのかな。
どうしよう、どうしよう…

俺がうんうん唸っていると安部さんは業を煮やしたみたいだった。

「もう良い!!柚樹くんとは別れる!!」

さよなら、と言ってその場から立ち去ってしまった。

「あ、安部さん!!」

俺は情けなくその場に立ちつくした。

……たった2週間で、フラれてしまった…
やっぱり『安部さんといた方が楽しいよ』って言えば良かったのかな。
だけど、それもそれで朝日に悪いし…

とぼとぼ家に向かって歩いていると、携帯が鳴った。
ディスプレイには、朝日の名前。

「……もしもし」

「……ユズ?今、家?」

「まだ……もうすぐ着くけど」

今から家に行っていいかと聞かれて、特に断る理由もなかったので承諾した。
電話を切って、ふと思い出す。

「あ……別れたこと言わなくちゃ」

でも……ちょっと恥ずかしいよな。
たった2週間でフラれたなんて、からかわれるに決まってる…

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あきゅろす。
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