ショート*ストーリー
Asahi-2
「朝日、また漫画読んでる…」
おめーが面白くないからだろうが。
ユズの家に来たものの、ユズの様子がなんかおかしい。喋ってても、ずっと上の空だ。
学校では普通だったのに…
まさか、今まで本当に彼女といたのか?
彼女と、なんかあったから……?
ユズをじっと見つめてみる。
相変わらず無言でボーっとしてる。
何があったんだ?彼女と。
まさか……キスでも、したとか?
「ユズ、静かだな」
心臓が大きく脈打つのを抑えようと、無理矢理ユズに話し掛ける。
「彼女となんかあったか?」
聞きたくないのに、自然に口が動いた。
ユズは少し間を置いて「別に、なんもないよ」と答えた。
本当かよ……しっくりこねーな。
もしキスなんかしてたら、絶対許さねー。
ユズのくせに、女とキスなんて。
ユズと、キスなんて…
「もう、キスは済ませたか?」
そう言いながら、ユズの隣に座る。
視線が自然にユズの唇にいってしまう。
ユズ、キスなんかしてたら、許さねー…
「なっ……何言ってんだよ!!」
ユズ、俺から顔を逸らすな。
「へぇ……ユズ、キス下手そー」
「うるさいっ!!そ、そりゃ朝日ほど上手くはないかもしれないけど…」
その言葉を聞いて、あることを思いついた。
思いついたらもう止められない。
他のことはもう、どうでも良くなっていた。
「あっそ。じゃあ俺が直々に教えてやろっか?」
ユズが顔を真っ赤にして身体ごと反対に向けようとしたから、俺はすかさずユズの腕を掴んだ。
「ほら、ちゃんと覚えろよ」
そう言ってユズの唇に自分の唇を押しつけた。
ユズの唇、やわらけー…
しばらくユズとキスしてることに興奮していたけど、それだけじゃ物足りなくなった。
ユズは唇をしっかり結んだまま、ピクリとも動かない。抵抗することさえ忘れてるみたいだった。
俺は一度唇を離してユズに囁いた。
「ユズ……こんな子供のキスじゃ、彼女は喜ばねぇよ?口、開けろ」
さすがに我に返って抵抗するかと思いきや、なんとユズはおとなしく口を開けた。
ボーっと俺を見る目が、すげーそそる。
バカユズめ……俺の言うことには、なんでも従うんだな。
俺はもう一度ユズと唇を重ね合わせた。今度はすかさず、ユズの口内に舌をねじこむ。
ユズの舌を捕らえると、ユズも俺の舌を舐めてきた。
ユズ……気持ちいい。本当は彼女とキスなんかしてほしくねーよ。
教えてやるなんて嘘だ。ただ俺がキスしたかっただけ。
お前は俺を裏切ったんだ、これくらい許されるだろ…
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