隣の芝生は青いンデスペシャル
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しばらくすると紅葉が「疲れたー」と言って戻ってきた。高階さんをつきあわせといて失礼な奴だな…
「紅葉、サッカー上手くなった?」
紅葉にそう聞くと高階さんが「まぁまぁだな」と答える。すると神楽さんが思いついたように尋ねた。
「そうだ!紅葉くんは知ってる?チカちゃんの恋人」
「こいびと?」
「東郷さんっていう人」
血の気が引いていくのを感じた。
急いで紅葉の口をふさごうとしたけど、間に合わなかった。
「とーごーなら知ってるよ!とうごうりゅうくん!」
高階さんと神楽さんは目を丸くした。
あぁあ本名なんて言ったら完全に男だってバレる…
どうごまかそうか迷っていると、紅葉が追い打ちをかけてきた。
「ゴウくんはね、怖いけど強いんだぞ!」
「……そうなんだ」
いよいよ死にたい…
神楽さんが遠慮がちに俺を見た。
「……チカちゃんの恋人って男なの?」
「えっと……そうなっちゃうんでしょうかね…」
俯いて現実逃避を試みていると、高階さんから驚きの一言が発せられた。
「じゃあ、俺たちと同じだな」
「え?」
「コイツ男だから。なぁ?神楽」
……え?
意味がわからなくて隣の神楽さんを見ると、今度は神楽さんが顔を青くした。
「あぁっ!なんで言うのさ、高階ぁ!」
「仲間なんだから別にいいだろ?」
「そうじゃなくて、こういう格好してる時に言うことないじゃんかー!」
頭が、混乱していマス…
神楽さんが男?いや声が低いなとは思ってたけど、ワンピースだし顔が女の子だし…
「まぁなんていうか……男なんだよね。こういう格好してるけど…」
神楽さんが観念したとでも言うように打ち明けた。
この人が男…
信じられない。こっちはパニックしてるのに高階さんはけろっとしてる。
「神楽、運動したら喉乾いた」
「えー?俺が買いに行くのー?」
「当然だろ。俺様に逆らうのか?」
神楽さんがしぶしぶ飲み物を買いに公園を出ると、ようやく高階さんはこっちを見た。
「あれ?まだビックリしてんの?」
「はぁ、かなり……あの、高階さんが女装させてるんですか?」
「まさか。あいつの趣味だよ……まぁ今は俺がさせてるけど」
ちなみに女装させてる理由は「男のプライドが傷つくから」だそうだ。
どう関係するんだ……?
「男と付き合ってんのは恥ずかしくねぇけど、男友達と映画見に行くような寂しい男と思われるのは恥ずかしくねぇ?」
「……いや、別に…」
むしろ、まるで逆なんですけど…
どうやら高階さんは本物の俺様らしい。
「どっちから告白したんですか?」って聞いたら「俺様が自分から告白するかよ」と返された。
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