隣の芝生は青いンデスペシャル
★★★★
---Kagura side---
「高階、怒ってないといいなぁ」
高階の鞄を持ってあげるのが日課だったのに、今日は英語の課題が終わらなくて一緒に帰れなかった。
ていうか高階が手伝ってくれたらもっと早く終わったのに!優しくないよなー高階は…
「あ、今日ガールの発売日だー」
『ガール』っていうのは女性向けファッション誌だ。俺の好きなブランドの新作がたくさん載っているから買える時は買っている。
買うのにちょっと難関があるけど。
「今日はもう少し遠くに行こうかな」
そう、女性誌を買うところなんて知り合いに見られたら死んじゃうから。いつも少し遠いところで買ってるんだけど、今日は気分を変えて別の場所で買うことにした。
電車に乗って少し離れた町で降りる。
すると意外にコンビニを探すのに手間取ってしまった。
駅のすぐそばにあればいいのに…
「あの、この近くにコンビニってありますか?」
たまりかねて通りすがりの男の人2人組に訊いてみた。制服を着てるから、たぶんこのへんの高校の生徒さんだ。
「コンビニ?どっかあるっけ、リュウ」
「知らねぇよ」
「いやどっかにあるって。どこだっけ?」
リュウと呼ばれた方はこっちを見向きもしてくれない。今さら気付いたけど、金髪でものすごい目つきの悪いお兄さんだ。
声かける人間違えたよー!
この世の終わりを感じてたら金髪さんが小さく「予備校の隣だろ」と呟いた。
隣の黒髪さんが反応する。
「あ、そうだ!ここ真っすぐ行って右。わかる?」
「わわわわわかります!ありがとうございます!」
思い出してくれた金髪さんにも頭を下げると、金髪さんになぜか「死ね」と言われてしまった。
「リュウくん機嫌悪いなぁ。じゃあ気をつけてねー」
2人組はそのまま去って行った。呆然としていると、鞄の中の携帯電話が鳴った。
「もしもし高階?今すっごいかっこいい金髪の人に死ねって言われた!」
『へぇ。で、どうすんの?』
「死なないよ!生きる!でも本当にかっこよかったんだよ。高階みたいに雰囲気だけのイケメンじゃなくて」
『ケンカ売ってんのか?』
高階がため息をつく。用件を聞いたら課題が無事に終わったか心配してくれたみたいだ。
やっぱり高階は優しい。さっきの撤回。
『そうだ神楽、明日のデートは公園な』
「え?突然のアウトドアデート?」
『まぁそんなもんだよ。じゃあ明日な、神楽』
「うん、バイバイ高階」
高階との電話を切って、俺はコンビニを目指した。
高階、なんで急に公園なんか行きたくなったんだろう?
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