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メイクビリーブ
..☆
夏樹の様子がおかしくなったのは、翌日からだった。
ここ3日くらい暗いっていうか上の空っていうか……とにかくおかしい。

「転校生が?」
帰り道、いつものように家まで送ってくれてる東郷先輩に相談してみたけど…
東郷先輩は気付いてないらしい。

「俺はお前しか見てねぇもん」

「……でもやっぱり、なんかおかしいんですよ…」

東郷先輩は面倒そうにため息をついた。
「なんか悩んでんじゃねぇの」

あ、なるほど。
なんで気付かなかったんだ俺!!
明日にでも、原因聞いてみよう。

「ありがとうございます!!東郷先輩」

東郷先輩は視線を前から俺に移して立ち止まった。
「礼はいいから…」
東郷先輩の目を見たら、体が熱くなった。

実はここ数日、変わったことがもう1つある。
別れ際に……東郷先輩と、キスするようになったことだ。

あれは合コンに行ったことを許してもらうためで、1回きりのハズだったのに
『1回したんだから良いだろ』
と言いくるめられてしまった。

次の日も、次の日も…
結局、習慣になりつつある。
今日は上手く逃れようと思っても、東郷先輩が別れ際にこの目をすると、体がそういうモードになる。

固まってる間に、東郷先輩が一歩近付いて俺の後頭部を掴んだらもう自然に目を瞑ってしまう。

「ん……はぁっ…」
この自分の気持ち悪い声も、当たり前になってきちゃったな…

「……は……中谷っ…」

東郷先輩が俺の名前を呼ぶ声は、すごくエロい。
それで尻なんか揉むもんだからもう…
最近、本当に、もう、ちょっと、ヤバい…

東郷先輩がゆっくりと口を離す。
あー……別にもうちょっと、良かったけどな……いや良いけどさ。

「……あ……せんぱ…」

「お前……ヤバいって」

呆れてように笑って東郷先輩は俺の頭を撫でる。
「じゃあな」
と言って先輩は帰っていった。
あの笑顔、詐欺だ…



翌日、宣言通り夏樹に悩みがあるのかと聞いてみた。
「……気付いてたんですね、チカラさん」
「当たり前だろ!!俺で良ければ、相談してくれよ」
夏樹は泣きそうな顔で頷いた。
良かった、夏樹の力になれるよう頑張らなくちゃ。



「この前……黒坂先輩がいなかった日の帰りのことだったんですけど」

「えー夏樹くん俺のこと好きだったの!?」

「黒坂先輩は黙ってて下さい!!」

2人でゆっくり話したかったのに、夏樹の希望で昼休みに話すことになった。
先輩たちは関係ないのに…
俺もないけど。

「黒坂先輩は好きですが、悩み事になるほどでは…」
夏樹も真面目に返すし…

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