メイクビリーブ .☆ 「昴は……彼女が5人いるんだ」 ……は? キョトンとする俺と夏樹に、東郷先輩は思い出したように付け加えた。 「彼氏も5人いる」 「違うよ、今はまだ4人」 「どっちだっていいだろ…」 黒坂先輩の指摘に、東郷先輩は呆れてツッコんだ。 「なんで……」 複数いることを追及すべきか、男女どちらもいることを追及すべきか?? たぶん、夏樹も同じこと考えてる… 「5人ずつ揃えてどうしたいのですか?」 そこかよ!? 夏樹……ちょっとズレてるよな… 「キリがいいし……10人でアイドルユニットとか組んだらいいじゃん」 おかしい… 俺の周り全員おかしい… 「だって男も女も寄って来るから」 これが黒坂先輩の最終的な言い訳だった。 女の敵だ!!いや……彼氏もいるから……人間の敵だ。 「全人類を敵に回すなんて…」 軽蔑の目を向けると、 「中谷も男と女どっちも知ったらわかるって」 と黒坂先輩のニコニコ顔。 一生わかりたくない… すると突然東郷先輩が口を挟んだ。 「昴、変なこと言うな」 「東郷先輩…」 「こいつは女なんて一生知らなくていいんだよ」 そう言って俺の頭に手を置いた。 何言ってんの? 俺は女しか知りたくないよ!! やっぱり一番頭がおかしいのは、東郷先輩だ… 放課後、その東郷先輩は一人で迎えに来た。 そうか、黒坂先輩は『飯食ったら帰る』とか言ってたな。 東郷先輩が帰ったら黒坂先輩は来ないけど、黒坂先輩が帰っても東郷先輩は来る。 だからたまにこの3人になるわけだけど…とっても気まずい。 特に夏樹と東郷先輩は、仲が悪いわけじゃないけどいまだに合わないらしい。 だって東郷先輩まだ夏樹のこと『転校生』って呼ぶし。 俺も『夏樹って呼んでやれよ〜!!』とは言えない。黒坂先輩なら言えるのに。 黒坂先輩ってすごい大事な存在だよな… 人間の敵だけど。 「そろそろテストの時期ですね」 「あー本当だなぁ。夏樹英語教えてくれよ」 「中谷、転校生に聞くくらいなら俺に聞け」 もうこんな感じ。 なんて失礼な言い方を… 夏樹も夏樹で 「そうですね!!東郷先輩なら教え方が上手そうです!!」 とか言うし。 良い奴すぎるんだよお前は… 「俺、夏樹みたいな男最高だと思う…」 「中谷!!お前の恋人は俺だろ!!」 わかってるよ!! ……そういう意味じゃないし!! [*前へ][次へ#] [戻る] |