メイクビリーブ
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俺はもう一度東郷先輩の寝室に連れていかれて、ベッドに座らされた。
「……寝ろ」
そう言ってベッドの傍に座り込む東郷先輩。
「え、東郷先輩はどこで寝るんですか?」
「寝ない。……つーか、こんな状況で眠れるわけがねぇ。生殺しじゃねぇか」
自分が朝までいろって言ったんじゃないか…
「だから、朝までお前のこと、見てる」
「……えー、なんもしませんか?」
東郷先輩、沈黙。
「やっぱり寝るのは諦めます…」
「待っ……常識の範囲外のことは絶対しねぇ!!」
「何が常識の範囲内だっていうんですか!!」
「ちょっと乳首舐めるくらいなら構わねぇだろ!!」
「構いますよ!!」
東郷先輩とは全っ然会話が成立しない!!こんなんじゃ起きた時には貞操が奪われてるかもしれない…
絶対やだ!!
俺は重たい瞼を下ろさないように必死になりながら、ベッドの上に体育座りをした。
「……寝ろよ。なんもしねぇって」
東郷先輩の声で意識が少しはっきりする。
そうだ、話してたら眠くならないかも…
「東郷先輩は、どんな中学生だったんですか?」
思いついたのは、合コンの帰りに『いつか聞こう』と思った質問。
中学時代の思い出話、結構盛り上がったしな…
「別に……普通」
……東郷先輩と盛り上がれる話題なんて、存在しないのかもしれない…。
「黒坂先輩も、同じ中学だったんですか?」
「あぁ。つるむようになったのは3年からだけど」
「黒坂先輩、なんだかんだ良い人ですよね…」
「ただのおせっかい野郎だろ…」
おせっかいだって、笑える。
ていうか眠くてなんでも笑える。
俺このまま寝ちゃうかも…
「……俺は?お前、俺のことはどう思ってんの?」
なんだその質問。ナルシストか!!
……まぁナルシストでも許されるか。
イケメンめ…
「俺、今日思ったんですけど……俺って、東郷先輩のこと…」
なんて言おうと思ってたんだっけ。
頭が回んない。
「俺のこと、なんだよ?」
あ、ダメだ……眠い。
「……中谷?」
おやすみ。
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