メイクビリーブ .☆ 俺はもう一度東郷先輩の寝室に連れていかれて、ベッドに座らされた。 「……寝ろ」 そう言ってベッドの傍に座り込む東郷先輩。 「え、東郷先輩はどこで寝るんですか?」 「寝ない。……つーか、こんな状況で眠れるわけがねぇ。生殺しじゃねぇか」 自分が朝までいろって言ったんじゃないか… 「だから、朝までお前のこと、見てる」 「……えー、なんもしませんか?」 東郷先輩、沈黙。 「やっぱり寝るのは諦めます…」 「待っ……常識の範囲外のことは絶対しねぇ!!」 「何が常識の範囲内だっていうんですか!!」 「ちょっと乳首舐めるくらいなら構わねぇだろ!!」 「構いますよ!!」 東郷先輩とは全っ然会話が成立しない!!こんなんじゃ起きた時には貞操が奪われてるかもしれない… 絶対やだ!! 俺は重たい瞼を下ろさないように必死になりながら、ベッドの上に体育座りをした。 「……寝ろよ。なんもしねぇって」 東郷先輩の声で意識が少しはっきりする。 そうだ、話してたら眠くならないかも… 「東郷先輩は、どんな中学生だったんですか?」 思いついたのは、合コンの帰りに『いつか聞こう』と思った質問。 中学時代の思い出話、結構盛り上がったしな… 「別に……普通」 ……東郷先輩と盛り上がれる話題なんて、存在しないのかもしれない…。 「黒坂先輩も、同じ中学だったんですか?」 「あぁ。つるむようになったのは3年からだけど」 「黒坂先輩、なんだかんだ良い人ですよね…」 「ただのおせっかい野郎だろ…」 おせっかいだって、笑える。 ていうか眠くてなんでも笑える。 俺このまま寝ちゃうかも… 「……俺は?お前、俺のことはどう思ってんの?」 なんだその質問。ナルシストか!! ……まぁナルシストでも許されるか。 イケメンめ… 「俺、今日思ったんですけど……俺って、東郷先輩のこと…」 なんて言おうと思ってたんだっけ。 頭が回んない。 「俺のこと、なんだよ?」 あ、ダメだ……眠い。 「……中谷?」 おやすみ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |