狼たちの幸福
Yuzuki-5
「どうだった?女と初めてセックスしてみて」
「どうって…」
気持ちよくなかった?いや、ちゃんと反応したし、最後にはイった。
だけど挿入してる時も射精した後も、思い浮かぶのは朝日のことばっかりで…
「……朝日のこと、大好きって思った」
率直な感想を言うと、朝日は「なんだよそれ」と笑って俺の体を引き寄せた。俺もすぐに朝日の胸に抱きつく。
「朝日……俺、ちゃんと朝日の言うこと聞いたよ?」
「だからなんだよ……報酬が欲しいのか?」
「うん……朝日の、欲しい」
朝日が服の中に手を入れて乳首を触ってくれた。
全身が一瞬で熱くなる。
「ユズ……脱げ」
「うんっ……朝日…」
裸になって口づけを交わすと、もう我慢できない。
やっぱり俺は朝日の体じゃなきゃ満足できないんだって実感する。
やがて朝日が俺を押し倒して、性器をお尻の穴に押し当てた。
「朝日っ……気持ち良い…」
「美月とのセックスは気持ちよくなかったのか?」
朝日の理不尽な質問に言葉が詰まる。
どう答えても失礼じゃないか…
「……バカだな、ユズは…」
「う、ひゃあっ…」
あぁ、それでも…
堕ちていきたい。この人の手のひらの上で転がされて、笑われ続けて、人形のように生きていきたい。
「朝日っ…」
「なんだよ」
「俺……女の子とするより……朝日におちんちんいれてもらう方が、気持ち良い…」
朝日は言葉じゃなく、口角をあげて応えた。
「朝日、好き…」
相変わらず朝日は何も答えてくれない。もう慣れっこだから良いけど…
「……ユズ、イく」
「来てっ……朝日、いっぱい出して…」
少し震えたあと、朝日が射精した。
その熱さに、言葉で伝えてくれる以上の幸せを感じる。
朝日は事を終えると同時に俺の体を離してティッシュを取った。
「朝日……大好き…」
その背中を見つめながら呟くと、朝日はため息をついて初めて返事してくれた。
「そういうのは彼女に言ってやれよ」
「……わかったよ…」
混沌とした空気に飲まれていく。
何も考えないことが一番気持ち良いんだって、大声で叫びたい。
「朝日……一回だけ、嘘ついて」
「は?」
振り向いた朝日の顔は、完全に親友の顔じゃない。俺を支配する男の、冷たい表情だった。
「嘘で良いから……好きって言って」
かすれた声でお願いすると、朝日は呆れたように笑って勝ち誇ったように言い放った。
「嘘で良いなら言ってやる。愛してるよ、柚樹」
偽りの愛情と支配される幸福感。
俺はこの快楽に、溺れていく。
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