神様の言う通り! ---------- ようやく唇が離れて、ハル兄ちゃんと目が合った。 「な……なんで…」 「神楽が可愛かったから、つい」 「……えっそれだけ!?」 そんな些細な理由でキスするなんて……やっぱり26歳はすることが違うなぁ。 「神楽、キス気持ち良かった?」 「うぅん、よくわかんない」 気持ち良いとかいう前に、キスって恋人とするものなんじゃ… 「じゃあ、もっと気持ち良いことしよっか?」 ハル兄ちゃんがワンピースの上から俺の太ももを撫でる。 それはなにがなんでも嫌だ……!! 「ダメ?神楽」 「ダメに決まってるよ!!セクハラ罪で訴えちゃうよ?」 「……それは困る」 ハル兄ちゃんの手が離れたと同時に、携帯電話が鳴った。 俺はポケットから携帯電話を取り出してハル兄ちゃんに「出てもいい?」と尋ねる。 ハル兄ちゃんは不思議なことに「ここで出るならいいよ」と答えた。 うーん、普通逆じゃない? とりあえず少しハル兄ちゃんと距離をとって通話ボタンを押す。 「もしもし?」 「かーぐら」 あぁ、高階かぁ。と思ったら、声に出していたらしい。高階の声色が変わったのがわかった。 「高階だと?」 「あ、榊様でした……どうしたの?」 「アイス食いてぇ」 ……ん? 急に食べたいものを報告されても……あ、どの味にしようか迷ってるのかな? 「やっぱり定番のバニラがいいと思う!!」 「は?」 「でも、相談してくれるのは嬉しいけどさぁ高階の好み次第だと思うよ?味なんて…」 「バカかお前?買ってこいっつってんだよ」 「……えー?今から?」 めんどくさいよー。アイスくらい自分で買いに行けばいいのにっ。 「早くしろよ」と高階は有無を言わせない口調だ。 言うこと聞かなきゃ、俺の秘密が… 「……どんな味がいい?」 「なんでも」 そう言うと高階は電話を切ってしまった。 早く行かなくちゃ… 「ハル兄ちゃん、俺もう行っていい?友達に呼ばれちゃったから」 「……いいよ。本当は行ってほしくないけど」 ……そんなこと言われてもなぁ。 とりあえずお財布を掴む。 「神楽。またキスしよーね」 「え、い、嫌じゃ!!」 緊張して噛んじゃったよ。 とにかく、アイス買って高階の家に行かなくちゃ… [*前へ][次へ#] [戻る] |