神様の言う通り!
前編2
水沢さんは転校してから数日で、すっかり噂の美少女として有名になった。
本人は見た目通りおとなしい性格のようで、何を言われても恥ずかしがっているだけ。
地味な俺はもちろん、高階たちも仲良くなれてないもんなぁ…
「よーし、今年もお前らの季節だな」
そんな折、文化祭シーズンが訪れた。
「クラスの出し物決める前に……とりあえず実行委員決めるぞ。あとは全部ソイツらに任せる!」
なっちゃん先生は相変わらず俺たち生徒に興味がない。球技大会では運悪く実行委員に当たっちゃったけど、今回は大丈夫かなぁ……?
祈る思いで配られたクジを開くと、真 っ白だった。良かったー!今回は俺じゃない…
「げっ」
後ろから高階の声と、周りが冷やかす声。
どうやら高階が当たっちゃったみたいだ…
もう一人は誰だろう?と見回すと、なんと水沢さんだった。
「よし、高階と水沢な。頑張れよー」
2人が教壇の前に立つ。
高階はお祭りごと好きだから良いけど、水沢さんは大丈夫かなぁ……?
「大丈夫か?うちの学校来たばっかなのに、こんなの」
高階が話しかけると、水沢さんは顔を真っ赤にして堰を切ったように話し始めた。
「だ、大丈夫です!あ、わたし水沢麻綾といいます!よろしくお願いします!」
「……おう、知ってる。本当に大丈夫か?」
「大丈夫です!こう見えて、こういう行事とか好きなんです。中学の時は体育祭で係とかやったし…」
「わ、わかったって。落ち着けよ…」
水沢さんは緊張してるのかいつもよりお喋りだ。そして一生懸命喋ってる姿はより可愛い。高階だって呆れながらも笑ってる。
うぅ。なんか、なんか嫌な感じだ。
*******************
その日の放課後、高階は実行委員の会議とかで帰るのが遅かった。
当然のように「待ってろ」って言われたから、俺は教室で待ってる。
ちょっと惨めだなぁ…
「成井さん?帰らないんですか」
顔を上げるとクラスメイトの市早くんがいた。市早くんは球技大会の実行委員を一緒にした仲で、俺と高階が付き合ってることも知ってる。
「高階待ってるんだー。市早くんは?」
「僕は、勉強です」
「えぇ?これ以上頭良くなってどうするのさー!」
と言いつつ、せっかくだから俺も勉強を教えてもらった。市早くんは教え方も上手いから好き。
「高階さんは実行委員の会議ですか?」
「そうだよっ。水沢さんと一緒でさ、絶対喜んでるよね…」
「そうでしょうか?」
「そうだよー……できた!問3!合ってる?」
「……間違ってます」
「かーぐら」
「あ、高階!お疲れさまー」
高階がようやく会議から帰ってきた。
水沢さんはそのまま帰ったのか一緒じゃない。
「市早といたのか」
「勉強教えてもらってた!市早くんありがとー」
市早くんは俺と高階の顔を見比べるように見つめて答えた。
「……いえ。僕も、成井さんと話すの楽しいですから」
「えっ、本当?」
「……神楽、帰ろうぜ」
「あ、うん!市早くん、ばいばーい」
嬉しいなぁ!市早くんには、どっちかというと嫌われてるかと思ってた…
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