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神様の言う通り!
前編1
「今年はやっぱり高階榊じゃない?」

なんてことない朝の登校時間。後ろから高階の名前が聞こえて、思わず反応してしまった。

近くにいるのかな?とも思ったけど、高階はいつもチャイムが鳴る寸前に来る。
どうやら噂話らしい。

「確かに顔は断トツだよね!ちょっとチャラそうだけど」

「チャラそうじゃなくてチャラいんだって!女の子とっかえひっかえしてるらしいよ?まぁかっこいいもんね〜」

女の子たちの会話はよくわからなかったけど、『女の子をとっかえひっかえ』ってところはちょっとだけ心に引っかかった。

今はそんなことないのに…
だって俺と付き合ってるし、浮気はしてないし、それに…

「かーぐら」

「ぅわっ……高階!」

急に頭をポンと叩かれて振り返ると、当の高階がいた。

「早い!なんで?」

「ほとんど寝てねぇんだよ。久々にアホみたいに遊んでた」

「うわ、不健康だぁ……やつれていっても助けて上げないからねっ」

「結構結構……あ」

高階が急に指さしたからつられて見ると、前を歩く女の子のスカートが風が吹くたびにヒラリとめくれていた。

ぶ、不用心だなぁ…

「ああいう色の下着履いてる奴ほど軽いんだよな」

「えっ、水色?可愛いのに!」

「だからお前は童貞なんだよ。朝から良いもん見たな?」

そういうものなのかなぁ…
どっちにしろ俺は恥ずかしくて一瞬しか見てないから、良いものなのかどうかもわからなかった。

そして、その『水色』の子が朝礼で転校生として紹介されるまで、そんなことは忘れていた。

「水沢麻綾です。よろしくお願いします」

すぐに高階が吹き出すのが聞こえた。
なっちゃん先生に注意されても高階は肩を震わせている。
『水沢』で水色なのが、ツボにハマったんだろうか…

俺はそんなことより、水沢さんがすっごく可愛らしい顔立ちで感動してしまった。
女装癖があるからかもしれないけど、可愛い子を見ているとなんだか幸せだ。

まつ毛が長くて、肌が白くて、
なんだかもう…

「お姫様みたいだよねぇ」

「は?」

「水沢さん!」

「あぁ、水色パンツか」

「うきゃー!何そのあだ名!かわいそうじゃんか!」

高階は朝のチラリズムが相当印象に残ったらしい。帰り道になってまで覚えてるなんて…

「すごく可愛いって、もう噂になってるみたい!他のクラスからも見に来てたよ」

「確かに可愛いよな……でも、神楽の方が可愛いよ」

「えっ!?」

思わず顔が熱くなった。高階はこういうことを急に言うんだもんなぁ!

「ああいう女もんの下着つけてきたら、もっと可愛がってやるのに」

「む、むむむ、無理だよー!」

「わかってるよ」

高階は呆れたように笑う。
下着は嫌だけど、高階はああいうのが好きなんだなぁ…

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