神様の言う通り!
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「高階っ!来たよー……あれ?」
高階に呼ばれてきたのに、俺が家に着くと高階は家を出るところだった。
「どっか行くの?」
「あぁ、ちょっとコンビニ行ってくる」
「……俺も行っていい?」
「ダメ」
「えぇーっ、なんで?なに買いに行くの?」
高階は少し言い淀んで答えた。
「コンドーム」
「……あ、そおなんだ…」
こんな反応しづらい答えだと思わなかったよー。
コンドームを買うってことは、高階はこの後俺と…
ぎゃー!!
「一緒に行きたい?」
「やだよ、恥ずかしいもん」
「そうかイヤか。じゃあ行こう」
うわぁ。高階が“人の嫌がること好き”だって忘れてた…
結局、高階と近くのコンビニに入った。
そして、売場に着くなり「どれがいい?」と訊いてくる。
「し、知らないよ…」
「なんで?お前の中に挿れるんだから、お前が選べよ」
「そんな大きい声で言わないでー!」
「ほら、早く」
恥ずかしさを押し殺して、適当に一つを取って高階に渡した。
高階はそれを見てニヤリと笑う。
「……なんで笑うの?」
「いや?神楽は極薄のコンドームで、俺のチンコをケツん中に感じたいんだなぁと思って」
そう言って高階はパッケージの『極薄』という言葉を指差した。
「ち、違うよ!適当に…」
「じゃあレジいこっか」
高階は全然俺の話を聞いてくれない…
「男二人でこんなの買ったら変に思われるよ?」
「上等じゃねぇか」
右手にコンドームを持った高階は左手で俺の手を引いてレジに向かった。
会計してくれた店員さんは女の子だった。良かった……のか?
「あ、袋いらないです」
「えっ!?」
そのまま持って帰るの?
周りに『これからエッチします』って言うようなものじゃん!
恥ずかしすぎる…
そんな俺の表情に気付いたのか、コンビニを出ても高階はずっとニヤニヤしていた。
「そんなに恥ずかしいか?」
「恥ずかしいよー」
「……じゃあ、今日は何もしてあげない」
「えっ?」
ズルい。
それはそれでイヤだって、高階はきっとわかってる…
「高階の意地悪…」
「俺と、したい?」
微かに頷くと高階は急に立ち止まって、俺にコンドームを差し出した。
「じゃあコレ持って『榊様とセックスしたいです』って言え」
「えっ!?ここで?やだ!」
「誰もいねぇじゃん」
確かに見渡す限りでは、誰もいないんだけど…
「ね、猫!猫いるもんそこに!」
俺は慌てて道路の隅にいる野良猫を指差した。
「大丈夫。あの猫はお耳が遠いから」
「高階あの猫と友達なの?」
「そうだよ?だから早く言え」
うぅ……高階の言葉は優しいようで威圧的だからキライだっ。
「さ、榊様…」
「声が小さい」
「榊様と!……せっくす、したい…」
あまりの恥ずかしさに俯くと、高階が俺の頭を撫でた。
「……変態」
「高階が言わせたんじゃんか……悪魔め」
「でも好きなんだろ?」
でも好き。
世界中でたった一人、俺の好きな人。
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