神様の言う通り!
----------
翌日、俺は昨日のお礼を言いに8組に向かった。
教室を覗くと、目当ての人物はすぐに見つかった。
「お、成井おはよー」
「おはよう!えっと……有吉くん!」
「有内な」
しまった、恩人の名前を忘れるとは…
「昨日は本当にありがとうございました……これ、お礼の品です」
「嬉しいけど……なんで図書カード?」
「え、だって有吉くんの好み知らないから」
「有内な……成井って天然?」
うわぁ、また言われた…
図書カードがマズかったのか。今度からお礼の品は人に相談しよう…
「まぁいいや、さんきゅ」
有内くんはなんだかんだ笑って図書カードを受け取ってくれた。
さすがジェントルマンだなー!
有吉くんと別れて自分の教室に戻ると、ちょうど高階が来たところだった。
「高階聞いてー!昨日ね…」
「なんだよ朝から……どうした?」
……いや、男に強姦されかけたなんて言ったら笑われるかな?
もしかしたら心配してくれるかもしれないけど、笑われるのも心配かけるのもイヤだな…
「昨日、なんかあったのか?」
「昨日ね……オリンピックの選手に選ばれる夢見たんだー」
「……あっそう。何の?」
「えっと、野球?」
「野球はオリンピック競技じゃねぇよ」
「あーそっかぁ。あはは…」
上手くごまかせた……!
高階には言わない方がいいよね、うん。
もう実害はないわけだし…
******
放課後になっていつも通り高階のカバンを持つ。二人で廊下を歩いていると、有内くんと会った。
「有内くん!ばいばーいっ」
「はいはい。明日な」
すれ違った後で高階に「アイツ友達?」って訊かれた。
「有吉くんだよ!8組の」
「いや有内だろ。俺1年の時同じクラスだったし」
「あ、そうなんだ!有内くん優しいよねー」
「……お前、優しい奴にはすぐなつくよなぁ」
そうかなぁ。
自分ではそんな風に思わないけど…
あ、市早くんとか?でも市早くんは恋愛コンサルトだしなぁ…
「直した方がいい?」
「いや、お前がポケモンだったらすぐに進化して楽なんじゃねぇ?」
「あー時間かかるもんねっ」
「……バカだな。神楽は」
高階はいつもと同じ、意地悪く笑ってる。そういえば高階のこと好きになったのも、意外な優しさを見た時からかもしれない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!