神様の言う通り!
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「神楽、明日どっか連れてってやろうか?」
ちょっと特異な言い方だけど、これが高階榊のデートの誘い方。
まるで子供やペットに言ってるみたいだ。
「行きたーい!どこ行くの?」
「考え中」
でも、行き先は全部決めてくれる。
俺は高階のこういうところが好き。
「そうだ、明日こそ女モンの下着履いてこいよ」
……痛いところを突かれた。
高階には高階独自のプライドがあるのか、人前で、特にデートっぽいところに行く時はいつも俺に女装させる。
高階は「下着も女モンにしろ」って言うけど、本当に履いてきたらそれはそれで。
「変態だな」って笑うんじゃないかな、高階は…
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『ご主人様の言う通り!』
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「おもしろかったー!高階は?」
「面白かったよ。お前の泣き顔」
「うぎゃー!なんで知ってるの!」
高階が連れてってくれたのは映画館だった。話題の日本映画は思ったより感動的で、高階の言う通りちょっと泣いてしまった。
「高階も泣いたでしょ?泣いてないの?」
「俺様は滅多なことで泣かないの」
「そうなんだぁ…」
そんな話をしながら歩いていたら、ティッシュ配りのお姉さんにポケットティッシュを渡された。
どうやらメイド喫茶の宣伝らしい。その子もメイドのコスチュームを着ていたから。
こういうのって女の子にも渡してるんだな。女装して気づいたけど…
「神楽、ティッシュがそんなに気になんのか?」
「え?」
「あ、着てみたいんだろ?」
高階が振り返ってメイドさんを指差す。
「うーん……そう言われてみると、試しに着てみたいかも」
メイド服って可愛いもんなー。フリルとかレースとか付いてて…
「買ってきてやろうか?」
「え……高階が?」
高階が頷く。
恥ずかしくないのかなぁ。レジの人になんて思われるかわかんないし…
「別に買うくらい恥ずかしくねぇよ。着たいとか言ってるお前に比べれば」
「うぅっ」
高階め……自分から聞いてきたくせにー!
と思ったけど、高階がメイド服をプレゼントしてくれるのは嬉しかったから黙っておいた。
「その代わり俺の前で着ろよ」
「うんっ」
楽しみだなぁ。記念に写真とか撮らなくちゃ。
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