神様の言う通り!
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インターホンが再び鳴ったのは、その時だった。
「あれ、誰だろう…」
高階といるし出ようかどうか迷っていると、続いて玄関のドアがガチャリと開く音が聞こえた。
「えぇっ!?入ってきた!?」
そういえばさっき高階が入った時カギかけてない…
震えていると階段の下から微かに「神楽、いる?」と声が聞こえた。
「なんだ、ハル兄ちゃんか…」
「誰?」と高階が尋ねる。
「向かいに住んでる幼馴染みで……昨日告白されたんだぁ」
「はぁ?なんだそりゃ」
話してる間に階段を上がる音がして、いつものスーツ姿のハル兄ちゃんが入ってきた。驚いた顔で俺と高階を見てる。
「神楽……お友達?」
「え、まぁ…」
昨日のことを思い出して、思わず高階の腕をぎゅっと掴んだ。
途端にハル兄ちゃんの眉が下がる。
「神楽、昨日はごめん…」
俺は黙って首を振った。
だって本当に本当に嫌だったもん…
「話があるんだけど、うちに来てくれないかな」
「今、友達と話してるから……今度にしてっ」
冷たくそう言い放つとハル兄ちゃんは「今夜しか…」と呟いた。
「俺……明日の朝、実家を出るんだ」
「えっ!?」
ハル兄ちゃんはてっきりこっちで働くものと思っていたけど、研修していたところに戻るらしい。
そうなんだ!今日で、最後なんだ…
「神楽に俺の思いを伝えておきたいんだ。最後だから…」
えぇ……そんなこと言われても。
どうしよう。今日で最後なのか。
でも今、高階と…
「……神楽、行けば?」
「高階…」
隣にいた高階が背中をポンと押してくれた。
「よくわかんねぇけど、行ってやれば。俺は帰るから」
「……た、かしな…」
ハル兄ちゃんが俺に近づいて手を引いた。今日は、ハル兄ちゃんのとこ行った方がいいのかな…
立ち上がろうとした瞬間、ふと高階の顔を見る。
その時、高階の顔がなんだか少し寂しそうに見えた。
……あぁ、俺なにしてんだ…
「ハル兄ちゃん……ごめんっ…」
ハル兄ちゃんの手を思いきり振りほどいて、俺は高階の元に戻った。
「俺……ハル兄ちゃんと会えなくなるの寂しいけど、今ここで高階を裏切るけにはいかない!」
ハル兄ちゃんも、高階も目を丸くして俺を見てる。
うぅ……恥ずかしい。でも…
「俺は他の人のとこなんか行かないって高階に信じてもらわなくちゃいけないから……ハル兄ちゃんのとこには行けないよ」
高階が俺のこと信用してないなら、俺が信用させなきゃ。もっと、証明しなくちゃ……!!
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