神様の言う通り! ---------- 「……んん…」 自然に目が覚めて、時計を見たら10時だった。 そっか、もう冬休みなんだ… あの日から数日たって、高階のお母さんはまた出張に出たらしい。「冬休みもたくさんうちに来いよ」って言ってくれた。 いつなら行っていいのかな?夜になったらメールしてみよう… と思っていたら、その高階から電話が来た。 「もしもし高階?どーしたのー?」 『お、起きてんな。じゃあ今からお前の家行くから』 「えっどうしたの?」 高階は何も言わずに電話を切ってしまった。 とりあえず顔洗って着替えて……うわぁ、緊張してきた! 俺の部屋で遊ぶのかな?うち何もないけど… 30分ほどたって準備万端で待っていたら、インターホンが鳴った。 ドアを開けると私服の高階が立ってる。 「高階、おはよー。どうしたの?」 「どうしたって……お前、約束しただろうが」 高階が呆れてる。約束……? あっ!今日クリスマスイブか! 「行くぞ、デート」 「えーどこに?」 「全部考えてあるから」 いつの間に!? それならそうと、言ってくれれば… 「なんだかんだ言って女はサプライズが好きだろ?俺様は気が利くんだよ」 「いやだから……俺、女じゃないってば!」 「あーそうなんだ。じゃあこれは要らないな?」 そう言って高階は家の中に入ってくると持ってた紙袋を差し出した。 中を覗くと、ビニール袋の中に数着、服が入ってる。 その場で広げてみると、なんと女物の服が一式セットで入っていた。 「うわぁー!かわいい!!」 嬉しいな。高階が俺のために、こんなの用意してくれてたなんて!! 「あ、俺なんにも買ってない……どうしよう?」 困って高階を見ると、高階は最初からわかっていたみたいでニヤリと笑った。 「プレゼントの代わりに、今から言う二つの条件を飲みなさい」 「はい!……なに?」 「一つ目は、今日は必ず俺のことを名前で呼ぶこと」 えぇ… もう高階で慣れちゃったのに。 今さら榊なんて呼べるかなぁ? 「もう一つは?」 「もう一つは、今あげたその服で一日デートすること」 「えっ!?」 早く着てみたくてうずうずしてたのは間違いないけど、一日女装して出掛けるなんて……大丈夫かなぁ。 「ほら、早く着替えてこい。サイズもピッタリなハズだから」 「なんでそんな自信あるのさー?」 「あんだけセックスの時に抱き合えば大体覚える」 ……また、恥ずかしいことを言う… でもよく女の子の服をこんな見事に揃えたなぁ。しかも良いセンスだし… って言ったら、高階から驚きの解答。 「うち、両親ともデザイナーだからな。なんとなく女もんの流行も耳に入るんだよ」 「そうなの!?あの、お母さんも?」 どりで(?)あんなに美人なハズだ。 小さい疑問が解決した… 「どうでもいいから早く着替えてこいよ?」 「あ、わかった!」 急いで階段をかけ上がる。 うーん見れば見るほどこの服、かわいい… 高階……じゃない、榊は『似合う』って言ってくれるかな? っていうかどこに連れてってくれるんだろう。イルミネーションとか見られるかなぁ… ヤバい、ワクワクしてきた。 高階はやっぱり高階だ。 意地悪なことばっか言うけど、 声が、体が、笑顔が伝えてる。 高階の優しい温度。 [*前へ] [戻る] |