神様の言う通り! ---------- 高階のお母さんは「一緒に夕食でも」って言ってくれたけど、高階が異常に嫌がって俺は帰ることになった。 まさか本当に母親だったとは… 「神楽、駅まで送る」 「えぇ?いいよー」 「俺様が送ってやるって言ってんだから素直に従え」 そう言われると何も言えない。 俺は高階と一緒に駅までの道を歩いた。 「……久々に帰ってくると」 「え?」 「うっとうしいんだよな。早く起きて学校行けとか、いろいろ…」 「あぁ……だから最近学校早く来てるんだ?」 なんか不思議な感じだなぁー。いつも俺様キャラの高階も、お母さんには逆らえないんだね… 「そんなことより、神楽……不安にさせて悪かったな」 「え?いや、俺もごめんね…」 「今までは散々してたけど……お前がいるのに、浮気なんてしねぇから」 「高階…」 なんか自分が情けなくなってきた。 高階は嘘なんかつくわけないのに… 「っても俺けじめつけるとか言ってなんもしてねぇもんな。こういうのって、言うだけなら簡単だけど…」 「そうだよねー!言うだけなら簡単なんだよー!」 「……はぁ?」 高階も俺と同じ考えだったんだ。 なんか嬉しいなーっ。 「ねぇねぇ、高階っ」 「ん?なんだよ」 「俺、高階に好きって言われたことない!」 高階は記憶を探ってるのか空を仰いで唸ってる。 「うーんそうかもなぁ……でも、お前だって言ったことないだろ?」 「えぇっ!?」 そうだっけ!言われてないことばっかり気にして、自分も言ってなかったとは… 「そっかぁ……心の中で何回も言ってるから気づかなかった…」 俺の言葉に高階が吹き出す。 「なんだよそれ……可愛いこと言うんだな?」 「ホントに?」 「じゃあ言っとくか。お互いに」 高階の提案で駅のそばの公園に入った。誰もいないみたいだ……当然か。こんな寒い夜に公園なんか来る人いないよねぇ。 意外に綺麗なベンチを見つけて二人で腰かけた。 「で?神楽は俺のこと、どう思ってるって?」 「えー俺から?」 高階はこれが生き甲斐とでもいうようにニヤニヤと笑ってる。 恥ずかしいなぁーもう!! 「高階……す……す、き……だよ…」 せっかく勇気を出して言ったのに、高階はニヤニヤ笑ったまま。 「高階はっ!?」 「俺?さぁ、どうだろうな」 「えー!?」 騙されたのかー!! 恥ずかしすぎて俯いていたら、高階が肩を抱き寄せてきた。 「かーぐら」 「ん?…」 高階の唇が一瞬触れる。そして、囁くような声が聞こえた。 「……好きだよ、神楽」 「たっ……か、しな…」 「なんだよ。聞こえなかったなら、もう一回言ってやろうか?好きだよ、神楽。すげぇ好き。お前のこと」 「ず……ズルいよ高階…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |