神様の言う通り!
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翌日の高階はいつも通りの高階だった。
それって喜んでいいことなのか落ち込むことなのか、俺にはよくわからない。
ただ、放課後「うちに来るか?」とは言ってもらえなかった。
昨日行ったばっかりだから自然なことなんだけど…
「あーあ…」
楽しくないなー。恋愛って悩み出すと全然楽しくない!
昨日あんなもの見なければ…
「成井さん?」
「あっ!市早くん!」
高階と別れて駅に向かう途中、同じく学校帰りの市早くんに出くわした。
球技大会で一緒に実行委員を務めて以来、何かと挨拶くらいはしてたけど校外で会うことはなかった。
「偶然だねー!駅行くの?一緒に帰ろうよっ」
「……僕で良ければ」
相変わらず冷たいなー。
お互い恋愛相談した仲なのに…
いや市早くんから相談はされてないけど。
「市早くん、なっちゃん先生とはどう?」
「いや……別にどうかしたいと思ってるわけではないので」
あ、そんなこと言ってたっけ。
担任と生徒なんて禁断の恋だもんね。
「でも俺、上手くいくように願ってるから!」
「ありがとうございます……成井さんはその後どうですか。北川さんとは仲良くされてるみたいですが」
「あぁ……実は俺、高階と付き合ってるんだー」
市早くんは驚いたのか黙りこくってしまった。
秀才の市早くんが気付いてないってことは他のクラスメイトも気付いてないよね……なんか安心。
「そうでしたか……お似合いです。おめでとうございます」
「そういえば、市早くんの言う通りだった!高階って実はすごい真面目なんだよー」
市早くんは初めから『あれは全部演技なんじゃないか』って見抜いてたんだよね。恐るべし市早くん。
「そうですか……恋する気持ちがわからないと言ってましたが、わかってきましたか?」
「うん……あ、あのね!恋愛コンサルタントの市早くんに相談があるんだけど!」
市早くんは表情一つ変えずに「僕は恋愛コンサルタントではありませんが、それでも良ければ」と答えてくれた。
俺は早速昨日の出来事を説明した。
「見知らぬ女性が家に…」
「怪しいよね?どう考えても怪しいよね?」
市早くんは俺に気を遣ってるのか頷きはしないものの、「そりゃ完全にクロだろ」って顔してる。
「どうしたらいいかなぁ…」
「そんなに気になるなら、訊いてみたらどうですか?」
「……でも高階ホントのこと言ってくれるかわかんないし、そもそも俺が疑ったこと怒るかもしれないし…」
そうなんだよね。
結局、そこが不安なんだよ…
「……もし浮気なら、高階さんは下手に隠し通そうとしないんじゃないですか?」
「それは、そうかも…」
「思ったことは早めに伝えた方がいいですよ。隠し事をして付き合うのって、意味がないと思います」
うぅ、市早くんの言葉ってなんか胸に刺さる…
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