神様の言う通り!
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「っていうかさぁ、なんで服着てないの?」
高階の部屋に入って、俺はとりあえずベッドの上に腰をおろした。
聞こう聞こうと思ってたけど、高階は上半身裸で下もボクサーパンツ一枚という何とも恥ずべき格好をしてるんだ。
いや恥ずべき格好なのはむしろ俺の方だけど…
「……本番直前で、フられたから」
ベッドの上の服を着ながら高階が答える。フられたって…
「……えっ彼女来てたの?っていうか、別れたの!?なんで?」
「浮気したから」
高階のしれっとした答えに、俺は拍子抜けした。
わぁ、浮気性ってやっぱり本当なんだ…
「本番直前って……?」
「はぁ?わかんねぇのかよ、女の服を脱がせて、股を…」
「わ、わかった!!もうわかった!!」
す、すごい場面で浮気発覚したんだな…
服を脱いでるってことは、さっきまでここで高階と彼女が…
「う、きゃああっ!!」
自分が今ベッドに座ってることを思い出して、慌てて飛び上がる。
高階は怪訝な顔で俺を見つめていた。
「はっ早く、プリント!!」
「あぁ、ちゃんとやっとけよ?」
高階は学生カバンから5枚目のプリントを取り出した。
「あ、ありがと…」
……なんで俺が宿題やってあげるのにお礼言わなくちゃいけないんだ…
でも高階ってこっちが悪いって思わせる力がある。魔法使いかな……?
とにかく、もう高階に用はないし、早く帰って宿題やらなくちゃ…
「かーぐら」
部屋の出口に向かって歩きだすと、高階が急に肩を掴んできた。
肩をびくつかせて振り返ると、体ごと一気に後ろに引っ張られた。
「た、かっ……!?」
……えぇと…
なんだろうこの感触は。
唇に、なんか、柔らか…
……高階?
「……ん、んぅっ!?」
キスされてるー!?
ありったけの力で高階の体を引き離す。
高階は悪気0の顔で俺を見つめた。
「な……な!?……なっ…」
たぶん俺は「何するんだ」って言いたいんだと思う。
だけど頭がぐるぐるして言葉にならない。
しばらく口をパクパクさせていると、再び高階に肩を掴まれた。
あ、もう一回される…
急いで高階の体を突き飛ばそうとしたけど、間一髪間に合わなかった。
「ん……ふ、うっ…」
驚いてる間に高階の舌が俺の舌を捕らえる。
口の自由を封じられて、すぐに呼吸が苦しくなった。
い……い、やだっ!!
「……ってぇ…」
高階の口が離れて、俺は大量の酸素を吸い込むことに成功した。
見ると、噛まれた唇を触って俺を睨む高階。
「ど……どうしちゃったの?高階!!」
「……ムラムラしてたから」
あぁ、そりゃそうだろうな。本番直前で彼女にフられて……じゃなくて!!
「そ、それでも……俺は男だよっ?」
……わかってると思うけど…
自分が着ているスカートを見つめながらそう呟くと、高階に鼻で笑われた。
「な……何?」
「わかってるぜ?神楽、お前は男だ。そんで……俺の奴隷だ」
だからお前に、断る権利なんかねぇんだよ…
高階のその言葉に、背筋が凍る。
どうやら高階の命令は、お昼と荷物持ち、それから宿題……だけじゃないのかもしれない。
「俺がなんか、間違ったこと言ってるか?」
「……い、いや……高階の、言う通り……です…」
「何回も言わせんな。榊様と呼べ」
「……榊様の、言う通りです…」
どうなる、俺の高校生活。
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