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神様の言う通り!
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「高階、中学の時になんかあったの……?」

天宮さんはしばらく口をつぐんでいたけど、やがて言いにくそうにゆっくり口を開いた。

「……アイツ、中学の時に付き合ってた子がいたんだけど…」

スミレさんは何も言わずに天宮さんの隣を歩く。
俺も黙って天宮さんの話の続きを促した。

「妊娠したんだ、その子」

「えっ…」

妊娠!?妊娠ってあれだよね、子供ができちゃったってことだよね?

「た、高階なんてことを…」

「それがさ、相手は榊じゃなくて」

「……え?」

「その彼女……ヒナっていうんだけど、ソイツが浮気したんだ。その時に妊娠して、結局中絶したらしいけど…」

一瞬頭が真っ白になって、ふといつかの高階の言葉が頭に蘇った。

『女だって、陰でコソコソ悪いことやってんだぜ?神楽にはわかんねぇかもしんねぇけど』

あれは、こういう意味だったのかな…

「それはまた、すごい女の人と付き合ってたんだね…」

そう言ったら天宮さんは慌てて首を振った。

「元々は、そんな奴じゃなかったんだよ。ただ、榊が浮気してるって知ってショックで自分も浮気しちゃったんだよな。正確には、浮気してるって勘違いしたっていうか…」

「勘違い?」

勘違いなわけない。だって高階は、現にとんでもない浮気性だし…

「榊は友達多かったしファンも多かったけど、浮気なんて全くしてなかったんだよ。なのにヒナに嫉妬した奴らが勝手に…」

天宮さんとスミレさんの話によると、高階の彼女ヒナさんは高階ファンに騙されていたらしい。
「榊の本命はアンタじゃない」とか「昨日榊とあんなことやこんなことをした」だとか…
そんなショックの中、迫ってきた年上男性と……と、いうあらましらしい。

「榊はそれを後で噂に聞いて、自分のせいだって言ったんだ。女友達が多かったのは事実だし、気づいてやれなかったからって」

天宮さんの言葉をスミレさんが引き継いだ。

「だからあたしたちに『俺が浮気したってことにしといてくれ』って言って、そのままヒナと別れたんだよね…」

「……そうだったんだ…」

「勘違いして浮気して妊娠、なんてヒナがかわいそうだと思ったんじゃねえかな」

あれ。ってことは高階は今聞いたことが原因で浮気性になったって、そういうこと……?

「ヒナさんって人は、今…」

「あぁ、普通に俺たちと同じ高校に通ってるよ。さすがに榊は違う高校に行っちゃったけど」

あぁ、だから高階は付属高校に上がらなかったんだ。
さっきはそんな話全然してくれなかったのに。

「だから、あたしたちは榊のこと心配してんだよね。榊に内緒で球技大会に行ってみたり」

「あ、そうだったんだ…」

「誰でも応援に行っていいって噂聞いたから。ちょっとしか喋れなかったけどね」

「俺は久々に会ったけど、アイツ昔はもう少し優しかったよなぁ…」

天宮さんが呟く。
高階は、今も優しいもん…

知らなかった。
高階の過去にそんなことがあってなんて。
そんなの全然、知らなかったな…

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