神様の言う通り!
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どっちにしろ、高階はそのまま打ち上げに行くのかな?俺は足痛いから帰るけど。
とりあえず「今日は鞄持ちできないからね」って言うために高階を探した。
「たーかしなーどこにいるのー?」
「神楽っ!!」
「たかしっ……なんだハル兄ちゃんか」
「えぇ、何その扱い?」
中庭でスーツのハル兄ちゃんに遭遇した。ハル兄ちゃんは足の包帯を見て異常に心配してくれたけど、ハル兄ちゃんに心配されてもなぁ。
「ハル兄ちゃん、明るい茶髪でいかにもチャラい男の子見なかった?」
「男子高校生は大体みんなそんな感じじゃない?」
「そうだけどー……あっ」
やっと見つけた高階は、裏門で他校の制服を着た女の子と話をしていた。
あれ、高階の彼女かなぁ?やっぱ可愛いなー!
「あれ、神楽の友達?」
「いや友達っていうか…」
どうしようか迷っていると、彼女さんと高階が俺の視線に気付いた。
すると高階が彼女さんと別れてこっちに近付いてくる。
うわ、また「お前に邪魔された」とか言われるのかなぁ…
「神楽、何してんだ?」
「……た、高階を探してたんだ。今日は鞄持ちできないから…」
「あぁ、別にいいよ」
「……高階?」
なんだか高階の様子が変だ。いつもはもっと俺様オーラが出てるのに…
なんかあったのかな?
「神楽、用事終わったなら帰ろ?」
何か言おうとしたけど、ハル兄ちゃんが急かしてきたから仕方なく諦めた。
でもやっぱり、高階いつもと違うような…
「高階、今のは新しい彼女?」
去り際にそう尋ねると、高階は無理に笑ってるみたいだった。
「……ちげぇよ?ただの、中学の同級生」
「へぇ、かわいいね!好きにならなかったの?」
高階は俺の質問に答えてくれなかった。
いつもだったら下ネタでも飛ばしてきそうなもんだけど…
「えっと、高階……今日はありがとうねっ」
「……足、早く治せよ」
俺はこの時、初めていつもと違う高階を見た。
そしてなぜかわかんないけど、市早くんが言った『高階は態度も言動も全て演技』って言葉を思い出した。
「神楽、サッカー楽しかった?」
「うーん、いろいろあったよー」
ハル兄ちゃんの車がうちに向かって走る。高階、何があったのかなー…
「さっきの男の子、仲良いの?」
「高階のこと?」
「かっこいい子だねぇ」
「うん、高階サッカー上手かった!」
サッカーが上手かったのはもちろんだけど、やっぱり試合後の方がかっこよかったな。
『お前バカみたいに転んでたじゃん。足いてぇだろ』
『神楽が怪我してることくらい気付いてやれよ』
うん、あれはかっこよかった。高階のイメージ変わっちゃったな。
俺は車に乗っている間、今日の高階の姿をずーっと思い出していた。
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