神様の言う通り!
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先生に「軽い捻挫」って言われて、包帯を巻いてもらったらなんとか歩けるようになった。
保健室を出ると、ぎこちない歩き方で中庭に向かう。幸い北川はまだ中庭の隅でうずくまっていた。
「北川っ」
「……なるい…」
北川は真っ赤な目で俺を見る。俺のせいでこんなに泣かせちゃったんだ。
申し訳ないような切ないような、複雑な気持ち。
「足、大丈夫か……?」
「大丈夫だよー」
痛む足を押さえながら北川の隣に腰かける。すると北川が俺の足の包帯を見つめた。
「ごめん……高階は気付いたのに、俺全然わかんなくて…」
「別にそんな…」
「高階にああ言われてショックだった……ゴールしたけど、これじゃ意味ないよな…」
「……北川」
違う。それは違うよ。
俺は北川が頑張ってくれたこと知ってる。俺のために、一点でも決めるために、一生懸命頑張ってくれたのに…
でも、ダメなんだ。
「ごめん……俺、北川とは付き合えない」
北川、ごめん。
でも俺の好きな人は北川じゃないんだ。もっと早く、ハッキリ言えば良かった…
「うん……いいよ、成井」
「これからも、親友でいてくれる?」
「すぐには無理かもしれないけど……頑張るよ」
北川が泣きそうな顔で笑うから、俺はボロボロと泣いてしまった。
なんで北川は俺なんかを好きになったんだろう?こんな良い奴なのに…
「ごめんね北川……俺、バカで…」
「そんなことないよ……ちゃんと答えてくれて嬉しかった」
しばらく俺は泣き続けた。いつの間に北川も泣いていて、ますます涙が溢れて止まらなかった。
「……成井、頼みがあるんだけど…」
泣きながら頷いた。北川のためにできることなら何だってしてあげたい。
「成井のこと、神楽って呼んでもいい?」
「……もちろん、いいよ?」
「良かった。本当は下の名前で呼びたかったんだ」
「そうだったのー?」
確かに名前で呼ばれるのは好きじゃないけど、言ってくれれば良かったのに。
そう言うと北川は「そうだよな」と笑った。
北川と、これからも親友やっていけるんだ。良かった…
それから北川と別れて、やっぱり申し訳ないから市早くんと実行委員の仕事をこなした。まぁ結局ほとんどやってもらったけど…
「じゃあ北川さんとは親友ということで解決したんですね」
「うん!市早くんと高階のおかげだよー」
市早くんと他のクラスの試合を観ながらそろそろ球技大会も終わりだねって話してたら、ハル兄ちゃんから電話がきた。
『もしもし神楽?もう球技大会終わっちゃった?』
「あーもう終わるけど……ハル兄ちゃん車なら迎えに来てよー。俺捻挫しちゃったんだー」
『捻挫!?マジかよー絶対行くから待ってな?』
良かった。これで帰りは楽チンだ。
高階も今日はさすがに鞄持ちなんて言わないよね……?
「そういえば市早くん、高階見た?」
「さぁ……お昼過ぎ一年生の女の子たちに囲まれているのは見ましたが」
うわぁ、絶対さっきの試合でファンができたんだな。確かにあの高階はかっこよかったけどさ!
とりあえず、大会が終わったら高階を探そう…
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