神様の言う通り!
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市早くんのカミングアウトがあまりに衝撃的すぎたから、教室に着くまでその話ばっかりした。
「市早くんはなんでなっちゃん先生を好きになったの?」
「どうしてそんな…」
「あ、どうしてそんなことを聞くかと言うとね?俺そういうのよくわかんないから…」
先回りして市早くんの質問に答えると、市早くんはちゃんと答えてくれた。
「僕、本当は構成作家を目指しているんですけど」
「こーせーさっか?」
市早くんの説明によるとテレビやラジオの内容を考える職業らしい。
さすが市早くん、かっこいいなぁ。
「まぁ学歴だけでなれる職業ではないので……誰にも言えなかったんですけど」
「なっちゃんには言えたの?」
「なんでも率直な意見を返してくれるところを見て信頼できると思いました」
確かになっちゃんは教師っぽくないというか、正直にものを言うタイプだもんなぁ。
「そしたら、笑うことも反対することもなく応援してくれたので」
へぇ、なっちゃん良い先生だなー。市早くんはそれで好きになったんだ!
俺は女装癖って秘密があるけど、北川には言えないなぁ…
「……成井さん」
「はい?」
「好きになったら案外、『好きかどうか』とかなんて愚問に感じます。考える必要もなくなりますから」
市早くんの言葉が難解すぎて、俺はキョトンとしてしまった。
「つまり……北川さんとのこと、上手く済むといいですね」
「あ……うん!」
球技大会最初の種目はバレーボール。俺含め他の競技に出る人たちはクラスの応援に体育館に集まっていた。
私服で応援してるのはみんな部外者で、大半が誰かの恋人だろう。
そういえば、高階も彼女連れてきてるのかな?あれ別れたんだっけ?でもまた次の彼女できてるかもしれないし。
後で聞いてみよう…
「北川は誰も応援呼んでないの?」
隣に座る北川に尋ねると、北川は俺を見て顔を赤くした。
「お……俺は、成井さえ見ててくれればいいから」
「……あ、そうだよね。ごめん…」
俺って“天然”でもなく“純粋”でもなく“無神経”なだけかも。
この後サッカーの試合だ。もし北川が得点したら、俺は…
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