[携帯モード] [URL送信]

君も詐欺師。

そしてまた、放課後になる。
俺の頭の中はアカリ一色だ。

「千川先輩さようならー」

「じゃあなー千川」

今日も足早に校門に向かう。
しかし、ここでいつもと違うことが起きた。

「せ……千川先輩っ」

突然目の前に立ち塞がったのは、昼休みの眼鏡男だった。

「あぁ……悪いけど、俺急いでんだ」

「でも…」

相手は思ったよりしつこいらしい。
一回キツく言った方がいいのか?というか……アカリが始まってしまう!!

「迷惑なんだよ。近寄んな」
くらいのことを言おうとした、その時だった。

『アカリです!!電話が鳴ってるよ!!』

……しまった…
公式サイトで配信しているアカリの着ボイス!!マナーモードにするの忘れてた…

「……じゃあ」

内心頭が爆発しそうなくらい恥ずかしかったけど、何事もなかったかのように立ち去ろうとした。

「今の、ミュージックアイドルアカリですか?」

「……まぁ」

衝撃。
コイツもアカリを知っているのか。ますます恥ずかしくなってきた…
とにかくここから立ち去りたい。歩き出そうとする俺の裾を、眼鏡男が掴んだ。
何故だかさっきより相当必死な顔つきだ。

「アカリ、好きなんですか!?着ボイスにするなんて、結構なファン…」

「待っ……こ、こっち来い!!」

月島が大声を出すから、さすがに人目が気になってきた。俺は人気のない校舎裏に移動する。
仕方ないけど、今日のアカリは諦めるしかないようだ。

「……言うなよ」

低い声で威圧するように言うと、眼鏡男がキョトンとした。

「あ、アカリファンってことですか?」

「……あ、アニメが好きとか、ロリコンだとかいうわけじゃねぇからな。声優が好きなんだ!!それだけだ」

自分でもなんのフォローをしているのかわからなくなってきた。

「そういうことだから……付き合うとか、興味ねぇんだ。じゃあな」

今度こそ眼鏡男から立ち去ろうとすると、またもや引き留められた。

「だから…」

「あの!!……し、信じてもらえないかもしれませんけど…」

眼鏡男はそういうと、目を閉じて息を吸った。

「ねぇミケ、わたしもうユウスケくんに嫌われちゃったのかなぁ?」

えっ…
アカリ……?

「そうだよね!!わたし、歌の力を信じるよ!!」

男の声色が急に変わった。そしてその声は、紛れもないアカリの声だった。
そんなまさか。

「も……モノマネか?」

そう尋ねると、眼鏡男が慌ててかぶりを振る。

「違います……僕が、tsuki.なんです!!」

そんな……まさか。
俺が心から愛してやまない、青春の全てを捧げているtsuki.が…

男!?

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!