よん。
「玲ー!!今日はこれ観よー!!」
「……お前ここ最近マジでなんなんだよ?映画評論家でも目指すのか?」
そんなわけないじゃんね…
あれから何度か作戦を遂行したけど、玲に断られたり玲が寝ちゃったりで良い雰囲気にはならなかった。
それでも俺はこの作戦にすがるしかないのだ!!
「で、今回はなんだよ」
お馴染みとなったレンタルビデオ店の袋を玲が奪い取る。今回のは自信あるんだ!!
例の店員さんも「絶対おもしろい」って言ってたし。
玲が袋からDVDを取り出す。
どんな反応するかなぁ……?
「あ?なんか紙が入ってる」
ところが玲はDVDには目もくれず、袋の中身を覗き始めた。
「え、レシートじゃなくて?」
玲が袋から小さな紙切れを取り出すと、折り畳まれた白いメモ用紙が出てきた。
玲がその紙を開いたので、俺も中を覗きこんだ。
《ミナトさん、いつも楽しくお話してくれてありがとうございます。よかったら今度映画でも観に行きませんか?メール待ってます。町屋ヒカリ》
女の子特有の丸文字で書かれたその手紙の最後には、彼女のメールアドレスらしきものが書いてあった。
町屋さん……って確か、いつもの店員さんだよね?なんで俺の名前……あぁ、会員証見ればわかるか。
これは困った。
俺、別に映画が好きなわけじゃないんだけど…
「なるほどなー」
そう言って玲が手紙を俺に差し出した。なるほどって、何が?
「だから最近やたらDVD借りてたのか、お前」
……えぇっ!?何を言ってるの玲さん。
俺がDVD借りてたのは、玲のためで…
「違うよ!?玲…」
「女目当てなら最初からそう言えよ」
「違うって!!この子が勝手に俺のこと好きになっただけで…」
「どんだけ失礼な言い方するんだお前はっ!!」
蹴られた痛みに耐えている間に、玲は自分の部屋に入ってしまった。
玲……違うのに!!
ちゃんと言わなくちゃ。俺には、玲しかいないってこと…
「玲、入っていい?」
玲の部屋をノックする。悲しいことに起こす時以外は絶対部屋に入るなって言われてるし。
反応を待っていると、部屋の中から玲たんの声。
「入ったら罰金3000万円」
「えーこの前は12万だったじゃん!!」
「お前なら本当に払いそうな気がしてきた」
玲、怒ってるわけではないのかな?
明日の朝に話せばいいか…
……いや、ダメだ!!
玲に誤解されてると思うと胸が痛い!!
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!