さん。 「れーいーれーいーれー……っく…」 「今度同じことしたら熱湯かけるぞ」 わき腹蹴られた……結構痛いのに。 今日は待ちに待った玲も俺もバイトない日、リターンマッチだ!! 「玲はさ、野球観るの好きでしょ?」 「まぁ……それがどうかしたのか?」 「今日は、野球映画を借りてきました!!」 玲の反応を窺った瞬間、俺は勝利を確信した。もちろんこの映画には恋愛要素もバッチリある。って、店員さんが言ってた。 「俺、これ観たいとは思ってたんだよなー」 「ホント!?じゃあ、観よっ!!」 「あぁ……つーかお前、なんで急に映画のDVDなんか借りてきたんだ?この前も…」 良い雰囲気に持ってって、一線越えたいから!!なんて、言えないよね… 玲の質問はなんとなくでごまかして、俺は玲とその映画を観ることにした。 せめて肩の一つでも、抱かなくては!! 「うぅ……ジョン…」 「……お前、泣きすぎ」 エンドロールになっても涙が止まらなかった。あまりに映画に熱中して、玲と接近するのも忘れてたし… 「か……感動したね…」 「したけど……男のクセに簡単に泣くなよ」 玲に軽蔑されてしまった。 なんか、作戦と違うような… 「じゃあな、おやすみ」 「あっ……玲…」 玲はいつも通り自分の部屋に入ってしまった。 ……いや、まだ諦めないぞ!! 「こんにちはー!!また何か借りるんですか?」 「あ、店員さん」 「あたし、町屋っていいます。町屋ヒカリです」 観たDVDを返すついでにまた恋愛映画を探していると、前回オススメを教えてくれた店員さんに会った。 「この前のはどうでした?」 「面白かったよ!!すごい泣けたし」 「良かったー!!今週入荷した恋愛映画も面白かったですよー」 「どんなの!?」 店員さんはよっぽど恋愛映画が好きなのか、その新作をわざわざ持ってきてくれた。 「基本スパイものなので、男性の方が観ても楽しいと思いますよー」 「へぇ……じゃあこれ借りようかな」 早速レジに持っていって、その店員さんに貸出をしてもらった。 今度こそラブラブモードになるかな? このままだと俺、ただの恋愛映画好きになってしまう… 「玲っ!!ただいまー!!」 その日は帰って早速玲に「また一緒に映画観よー」って言ったんだけど、なんと「それ、観た」と一蹴されてしまった。 いや……諦めるのはまだ早い!! [*前へ][次へ#] [戻る] |