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乙ー壱
順序的にいっても、やはり帝という絶対的立場の人間にまず初めにあげるというのが筋だろう。

薫は、勇ましく馬にまたがり内裏へ向かった。

役人に「何用か?」と聞かれたときにはさすがに焦ったが、「橘薫」という名前だけで通してもらえた。

京の人間に『ばれんたいん』が通用するはずがないので、どう説明しようかと頭を抱えていたのでちょうど良かった。

「そなたが、一人で来るとは珍しいな。」

少し別室で待った後で、帝との謁見が許された。

帝は、嬉しげに薫を見た。

友雅には悪いが、やはり薫一人で来てくれた事自体がよほど嬉しかったと見える。

「向こうの世界で二月十四日というのは、女性にとって大事な日なの。

お世話になっている人や、好きな人にチョコをあげるっていう習慣があって…。」

手に汗をかきながら、薫は説明した。

「そうか、それでわざわざ来てくれたのか。」

「うん。帝にも、渡したくて。」

はにかみながら薫は…

義理チョコを渡す


本命チョコを渡す







あきゅろす。
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