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ヨザックルート
やはり、集中するには剣道が一番だと思い、

愛刀を手に、庭へ降りた。

しばらく稽古をしていたが、

庭の池がふつふつと水泡を浮かべはじめ、

いきなり噴火したかのように水があふれでたかと思うと

見慣れた人が池の中にいた。

「お久しぶり〜。」

「え〜と、ヨザック?」

片手を振り上げ、陽気に笑うヨザック。

ひとまず、濡れたままではまずいので

服を探した、


とはいえ、やはり和服しかない。

(ヨザック一人で着れるかな…)

いやしかし、自分が着せるわけにはいかないと思いながら、

ヨザックに着替えを渡した。

が、薫の心配を他所に、

ヨザックは見事に和服を着こなしていた。

「ヨザックって、和服着たことあるの?」


「いや、似たような服は着たこと有りますがね〜。

だてに潜入操作やってないわよ♪」

「あはは…そう?」

薫は、ヨザックの女装にちょっと感謝した。

「それで、何かお困りなんじゃないですかね?」

「ん〜、まぁ、ちょっと…。

ていうか、なんでヨザックが!?」

「あぁ、なんか眞王サマが、

《俺の騎士が危機にひんしている。

急いで地球に行って助けてこい。》とかなんとか。」

まるで、生死に関わりそうな言い方だ。

どう考えても大袈裟すぎる。

薫はため息をついた。

「眞王の言い方は、ちょっと行き過ぎね。

まぁ、困ってはいるけど…。

今日ね、お見合いしなきゃいけないのよ。」

薫は、一つ一つ言葉を紡ぐ。

「あらまぁ、それは大変。

では、グリエが一肌脱ごうかしら?」

ヨザックが励ますようにウインクした。

しかし、どうすれば良いだろうか。

「男女逆転してみない?」

「は?」

「私が、薫になるのヨ。」

なんてハチャメチャな案なのだろう。

「何それ?」

「いやぁね、

だからカオルの身代わりよ。」

身代わり…

しかし、素晴らしき上腕二等筋が有る限り、

それは無理な気がした。

「えぇ!?

無理無理!絶対無理よ!」

「そこまで言われるとちょっと凹むんですが。」

「ぁ…ごめん。」

「大丈夫。

グリエにお任せあれ。」

そう言って再びウインク。

薫も曖昧に微笑み返した。

「…じゃあ、おめかし手伝って。」

「ぇ゛」

おめかしとか、正直あまりしたことなどない。

結局、ヨザックに教えて貰う形になってしまった…。

ヨザックは驚くほど詳しくて、

薫もついつい夢中になった。

(やっぱり女の子だなぁ)

とヨザックは、内心思いながら微笑んだ。

そのうち老婆も来て、

やんやとやっているうちに時間になった。

…本家に着いたヨザックを

珍しく集まっている親戚が物珍しそうにみている。

薫は草影に取りあえずたいき。


叔父は呆れたように、

勝ち誇った笑みを浮かべる。

「…変わり者が好きだな、お前も。

薫、どこにいる。」

「いやですねぇ、娘の顔を忘れたんですか?」

「誰が娘だ!?

一家の恥さらしがっ…。」

すると、ヨザックの表情が一変した。

「恥さらし?

俺からすると、あんたの方がよっぽど、恥さらしに見えるがな。」

しかし、叔父もまた負けじとにらみ返す。

「だいたい君は一体何のつもりかね?」

「カオルは渡さないってことに決まってるだろ。

頭悪い叔父さんだな。」

「…ふざけっ!」

叔父がヨザックを殴ろうとしたが、

「おっと、お庭番を舐めてもらっちゃ困るね。」

ヨザックは、見事にそれを受け止める。

「…あんな価値のない女を庇ってどうする?」

「価値があるとかないとか、

あんたに決められる筋合いはないね。

俺はカオルが好きだ。

それで充分、正当理由だし。」

「…そうか。

じゃあ、悪いが、君はここで終わって貰おう。」

叔父が指を鳴らすと、黒服の男たちがぞろぞろ現れた。

(いつの間に、こんなものまで雇ってるの!?)

驚きと戸惑いが薫を混乱させる。

さすがのヨザックも一人では対処しきれないだろう。

「…くっ。」

(危ないっ!)

気づけば、駆け出していた。

「ヨザックに何するのよ!」

愛刀で峰打ちを喰らわせ、周囲を睨み付けた。

「出てきちゃダメって言っただろ。」

「バカね。私だってヨザックのこと好きなの。

目の前で苦戦してたら、助けて当然よ。」

ヨザックは、ため息混じりに言った。

「俺の背中は、カオルに任せた。」

「うん、ヨザックもね。

じゃあ、行くわよ!」


背中会わせに敵をなぎ倒し、

やがて二人の圧勝。

とても爽快だった。

ヨザックはもともと強かったが、

一緒に戦うとより動きが鮮やかで

(かっこいいなぁ…)

と感じた。

コンラッド達とはまた違う、
キレのある容赦のない動き。

「さすがね、ヨザック。」

「カオルもな。」

二人は、微笑みあった。

叔父は血の気が引いた顔で二人を見る。

(化物か!?)

と顔が語っている。


「…随分派手にやっちゃったな。」

「あはは…そうだね。」

当分嫌がらせはされないだろう。

叔父もかなりびびっている。

ヨザックはそんな叔父に近づいて、

耳元でひくく囁いた。

「今度、カオルに手出したら、

お前も血祭りだからな。」

叔父がヒッと息を呑む。

薫は訳が分からず、

ヨザックと叔父を見た。

「何言ったの?」

「秘密。それより、帰りましょう?」

「ぇ、うん。」

薫は首を傾げたまま、

本家を後にした。







――――薫自宅。

「…でも、やっぱりヨザック強かったわ。

今度、決闘しない?」

「…俺がまけちゃうよ。」

ヨザックは笑った。

「そうかしら?
良い勝負になるんじゃない?」

「また、今度。

機会があれば、ね。

じゃあ俺は、そろそろ戻らなきゃ。」

「ん、今日はありがとう。」

「いーえ、俺も楽しかったし。」

ヨザックは庭の池の中へ、ズブズブ入っていく。

来た時と同じく、水泡を浮かべ始めた水面。

「ヨザック。」

「…はい?」

「今日は、かっこよかったよ!」

その言葉を最後に、ヨザックは消えた。

お互いの顔が真っ赤だった。

ヨザックがいなくなってから、

部屋に戻ると、

ヨザックが可愛いと誉めてくれた口紅が目に入った。



(今度、おめかししようかな…)








――――俺の背中は、君だけのものだから。










やっと終わった(^^)/▽☆▽\(^^)

おめでとう、自分。

お待たせした皆様、すみませんでした。

ヘボい文章ですが、感想などあれば是非とも宜しくお願いします。


再チャレンジ

ネタバレは此方


楽しんでいただけたでしょうか

感想などありましたらお寄せください。




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