[携帯モード] [URL送信]
ギュンタールート
庭の池から音がしたと思い、

襖の扉をパンと勢いおく開けた。

瞬間、庭の池にいるある人物と目が合った。

「ギュンター!?」

「カオル様!?」

お互い、びっくり仰天だ。

とりあえずギュンターは濡れ鼠だったので、

家にあった和服に着替えてもらった。

もともと美形なギュンターは和服も見事に着こなしている。

居間に茶と菓子を置き、ギュンターと向き合う。

「それで、どうして、地球に?」

「いえ、それが…。

眞王陛下に頼まれまして。

騎士殿をお救いせよと。

何かお困りのことがあるのではないですか?」

「うーん、まぁ、」

眞王がわざわざ派遣したことを知り、

苦笑いしながら言葉をにごす薫。

「遠慮なさらずに仰って下さい。」

「え〜と、じゃあ、ギュンター。

明日1日私の彼氏になってくれない?」

薫は思い切って言った。

「は?」

慌てて薫は解説をはじめた。

「実は私、明日お見合いしなきゃいけないのよ。とは言っても、叔父が勝手に組んだヤツだから、

私はどうにかして、そこから逃げ出したいのよ。」

「…わかりました。

協力いたしましょう。」

ギュンターはそう言った。

薫もほっと安堵の息を漏らす。

「では、私におまかせを。

もう夜更けのようですし、カオル様はおやすみになって下さい。」

ギュンターは優しくそう言った。

「そう?

あの、ギュンターも無理しないでね。」

「そんなっ!滅相も御座いません。

カオル様になれることが私の幸せなのですから!」

これ以上言っても、恐らくギュン汁を出すぐらいしか
無さそうだったので、薫は早々に退散した。












―翌朝


早朝5時に起床し、毎朝の稽古。


ギュンターは6時ぐらいに起きてきたので、

それから朝食をとった。

完全に和食だったので、ギュンターはどれも初めての料理が多く感動していた。


「こちらは、なんですか?」

「明太子。昨日、送ってきたの。」

「では、これは?」

「小松菜のお浸し。」

こんな感じで質問責めだ。

紙とペンがあれば、メモでも取り出しそうな勢いである。

ようやく長い朝食を終え、勉強熱心なギュンターに付き合い、

いろいろと地球のことを教えることになった。

家の中だけでもかなり沢山教えることがあり、

気づけば老婆の来る時間が来てしまった。

ピンポーンと、インターホンがなる。

ギュンターは、インターホンにもかなり歓喜の声をあげていた。

「来てくれて、ありがとう。」

「いえ、お嬢様の為なら…。」

そう言いつつ、ギュンターをちらっと見る。

「此方は、私が生前からお世話になっている使用人の方なの。

勿論、今日のことも知ってるわ。

私の唯一の味方よ。」

紹介すると、

「私は、フォンクライスト卿ギュンターと申します。」

ギュンターも礼儀正しい挨拶をした。

老婆は感心した反面、驚いたようだった。

「カオル様、

では私はこちらの方と今日の打ち合わせをいたしますので。」

ギュンターなりの考えがあるらしい。

「え?私は…。」

「大丈夫です。

私に合わせてくだされば。」

ギュンターは安心させるように微笑んだ。

そのまま、ギュンターは老婆とこもり、

やがて、迎えの時間になった。

しかし、未だにギュンターは出てこない。

かわりに老婆が現れ、

「ギュンター様は、後ほどお着きになります。」

と、珍しく微笑みながら言った。

何処か嬉しげでもある。

薫は首を傾げたが、

ギュンターを信じて、本家に向かった。

本家には珍しくある程度の親戚が集まっていた。

薫を蔑むような、卑しむような視線が
矢のように突き刺さる。

しかし、薫は毅然と振る舞った。

―いつもの事だ、と。

「あぁ、お痛わしいや!カオル様!!」

本家の叢に老婆と隠れているギュンターは、

発狂しそうな勢いである。



やがて、見合いが始まった。

何故か大勢の親戚に囲まれながら、

薫は親戚に紹介された相手を見る。

しかし、


「お待ちなさい!」



と歯切れの良い音と共に現れたギュンター

深い色の和服に身を包み、

長い髪を綺麗に結いまとめた姿にに

その場の男女全員の目が釘付けだ。

「ギュンター?」

しかし、ざんねんながら見合い相手だけは意外に冷静だ。

「貴方が薫さんの恋人ね。

残念だけど、そうはいかない。」

「えっ…痛っ!?」

見合い相手は急に薫を組伏せた。

相手にも多少武道の心得があるのか薫も振りほどけない


「では、私も強行突破といたしましょう。」


(え…?)


全く怯まず、ギュンターは言うと、

あっという間に鮮やかな手さばきで相手を打ち倒し、


気付いた時には薫はギュンターに抱き抱えられていた


まさに白馬の王子様だ(馬には乗ってない


「ご無事ですか?」


「ぇ…えぇ。」


薫の無事を確認したギュンターは一言決め台詞。

「私のカオルに手を出すものは

私フォンクライスト卿ギュンターが許しません。」

そう言ってその場を颯爽と去っていった。








家に帰ると老婆が嬉しげに待っていた

「どうやら成功したようですね

乱入!恋人略奪作戦は…」

(なんてネーミング)

どうやら今回の一件は老婆の案らしい。

「ギュンター、

今日はかっこよかったわよ。


……ギュンター?」

ギュンターは急にハッとしたように、

「カオル様を呼び捨てにするなど!?

申し訳ございませんでした。」


といつもの如し。

「えぇ、良いわよ。


今回はしょうがないじゃない?」

「しかしっ……はっ

カオル様、あまり私を見ないでください。」

「は?」


「近いです!

カオル様、私にはまだそのようなっ!?


………ごはっ」


「ギュンター!?」


汁を吹いて倒れた


そういえば先程から薫を直視していなかった気がする。

(こういうワケね?)


『全く世話がやける』


――――眞王?


『どうにか難は脱したようだな。』

心なしか、眞王の声がいらだっている。


不意に池の水が溢れ、

汁にまみれたギュンターを包むと

そのまま池に急降下した。



(なんだったんだろ…一体)


しかし、ギュンターに助けられたのもまた事実


薫は、姫様抱っこの温もりと


ギュンターが自分の名前を、呼び捨てで呼んでくれた暖かみを覚えていた。



例え、偽りでもギュンターの迫真の演技の言葉は

薫にとってかけがえのない一言。







―貴女をお守りすることが、私の至福なのです












ギュンター人気無さすぎで思わず書いた

は良いが、またミスして一度消えた

エムペ使いづらいっ!?

ギュンターは結構良いと思うのだが


再チャレンジ


ネタバレは此方






楽しんでいただけたでしょうか

感想などありましたらお寄せください。


掲示板へ


とりあえず拍手



今後の参考にいたしますので、ぜひともお願いします(o_ _)o







あきゅろす。
無料HPエムペ!